mimimal⑤「; moment」

脚本の制作過程を公開しています。随時更新中。
ネタバレいやな方は見ないでください。

mimimal⑤ver.2.0「; mo0ment」

2014年8月11日(月)〜8月13日(水)
会場:北品川フリースペース楽間



チケット販売中!

前売り2300円、当日2500円
パンとコーヒーとチケット2600円(要予約)

☆プレビュー公演☆
前売り1800円、当日2000円
パンとコーヒーとチケット2100円(要予約)

携帯からの予約はこちらをクリック!



[PR] 給与計算アウトソーシング SRグループ レディース ファッション ファッション通販


※ステマ割引あります。
twitter、FacebookなどのSNSやブログにmimimalのことを書いていただくと300円引きになります。観劇後に書いて頂いても結構です。予約ページの備考欄にURLの記入を忘れずにお願い致します。
そして、いろいろ言われそうですが、演劇ポータルサイトのこりっちで観たいのクチコミコメントしていただければ☆の数に応じて(100円~500円引き)割引します。逆に書きずらくなったって思う方は「ステマじゃないです」って書いていただいても割引しますのでご安心ください。ステマって公言してる時点でステマじゃないっていうツッコミは黙殺します。
ステマ割引ご利用の際は忘れずにURL(twitterなどのSNSをご利用の方はアカウント名)をご記入ください。当日キャッシュバック致します。

mimimal⑤「; moment」
終了しました。

2014年4月18日(金)〜23日(水)
会場:新宿眼科画廊・スペースO
上演時間:1時間20分

公演の写真です。←クリック

脚本、演出:増村啓悟

出演:
阿波屋鮎美(時間堂)
森脇司
関岡沙穂
峰松智弘(劇団百日紅御一行様)

美術:三浦大明、遠藤健太郎、クマコ
フライヤー撮影:奥山智明

登場人物

雨子 走る女。
ウルヒト 医者、人身売買業者。

ノウシ(ヘッド) ベッドから出られない。
ロボ(ボディ) ノウシの代わりに世界を飛び回る。
ノウシの元カノ 趣味は室内家庭菜園(藁。

タンガニーカの英雄
魔女

※以下の役の設定は4月の公演においてあまり関連がありません。
ツキノウサギ 戦士。
火ノ子 猟奇殺人犯を夢みるひきこもりの兄の話をおもしろおかしく吹聴するのが趣味の女の子。
 不在。
木の子 アナクロ森(守)ガール。
金子 成金。
土竜塚糸工@LJK(もうすぐ卒業( p′︵‵。) 都立高校に通う高校生。3日前にiphoneを落として画面が割れたのがすごく悲しい。
日本人 日本国民

台本

※見出しをクリックすると本文が開きます。

2014年8月「; mo0ment」

P1-P4

(開場)
出演者は各々の時間を過ごしている。本を読んでいてもいいし、コンビニに行っていてもいいし、外でタバコを吸っていてもいい。ただし、芝居の稽古をしてはいけない。この公演のことを考えてはならない。

 (開演20分前、10分前)
音 本日はご来場いただきましてありがとうございます。開演に先立ちましてご案内申し上げます。上演中は携帯電話の電源は切らなくて結構です。ただ、音が鳴りますと皆様そちらを向いてしまいますので、音は鳴らないように設定してください。バイブレータの振動音、カメラのシャッター音は鳴らして構いません。通話はお控えください。また、長時間座っていると身体によくありませんので、時々立ったりして体調管理をしてください。周囲の方もそのくらいは大目に見ていただけると幸いです。上演時間は1時間20分を予定しています。途中休憩はありませんので、おトイレは今のうちにお済ませください。体調管理をしてください。おトイレはこちらの奥にございます。では、開演までもうしばらくお待ちください。

 (開演5分前)
男以外の役者は定位置につく。

 (開演3分前)
男4人じゃんけんをする。勝った役者から1234のいずれかを選び座る。

 (開演)

音 はじめます。お願いします。

 観客の緊張の糸が切れるのを待つ長い間。

雨 はじめます。

 aはTOEICの試験勉強をする。bはコーヒーを淹れる。

b はい。
雨 が…、落ちます。
b はい。
雨 水が、落ちて、あ…、水が、一滴、落ちて、はねます。
b はい。
雨 水が…、空から水が、一滴、落ちて、はねます。
b 水が、↓落ちます。
c ↑落ちま↓す。▶①
d ↑落ちまし、た。▶①
e た、▶①
f た、▶①
b た。
雨 水が▶①
g はじめます。
h 誰が、はじめ、ますか?
i 誰が、はなし、はじめ、ますか?
b ↑はじめ、ますか?…誰が、はなし▶②
魔 ↑モーメント◀①
ガ (「…はじめ、ますか?」に応えて)わたし◀②(手を上げる)
レ △わたし(手をあげる)
め △わたし(手をあげる)
ガ 昔々あるところにおじいさんとおばあさんがおりました。おじいさんとおばあさんになる前はおじさんとおばさんでした。その前、その前2人は若い男女でした…わたしは、若い女でしたが、おばあさんどころか、おばさんにもなれず、そうして、死にました…
レ △何から話せばいいかしら。そうね、わたしがはじめて、死体を見たのは、そうね、あれは、8歳…、8歳のとき、そうね、日差しの強い、そう、ちょうど今日のようなとても暑い日だったわ…
め △これは本当にあったお話です。昔々、大雨が降り↙〈ました〉ありました。大雨がありました。そして世界の大体3割くらいの土地が水に、雨に沈んでしまったのだそうです…
音 (…手を挙げて、3人を制止する)あー…、順番に〈お願いします〉

 間。a、手を上げる。

音 じゃあ
a 昔々、大雨が降り↙〈ました〉ありました。
4 え
a 大雨がありました。
b それは、どこで降ったのですか?
a 世界中です。
b 世界、中ですか?
a そうです、世界、中で大雨が降りました。
b どのくらい降ったのですか?
a どのくらいと言うと、量で↓ですか?
d ↑期間ですか?
2 いつからですか?
雨 3日前です。
a 雨止まないね
b うん
雨 えーと、中吊り広告、美容薬品の広告をながめていました、数年に一度ーーー(次の発話までのばす)
a 一瞬しか花を咲かせないことで有名なこの花から抽出された成分アルドモメノイドは活性酸素をーーー(息が続くまでのばして、大きく息を吸う)
雨 とそこまで読んで、わたしは飽きてしまいました。休日の銀座線は空いていて、わたしは上品な銀縁の眼鏡をかけたおばあさん、のとなりに座った。おばあさん、からは、何か、何だろー、なんかとても懐かしい匂いがして
2 どんな匂いでした?
雨 たぶん…、ああ、何の匂いだろ。うーん…匂いって人に伝えるのむずかしいですね。
2 それで
雨 そう、それで、そしたら急に、、が、出てしまって。そうですね、泣いたっていうより、涙が出たっていう感じなんですよね 
2 なるほど
雨 そしたら、それから、止まらなくなってしまって、悲しいわけでも悔しいわけでもないんですよ、わたし
2 うーん…。3日間、2.5日の間ずっとですか?出てます?
雨 はい、あーでも、動いてると少し止まる様な気がします。
2 寝ている間も?
雨 はい。なかなか寝付けなくて。で、何とか寝るんですけど、起きたら、というか、途中で目が覚めちゃって、そしたら枕がびしょびしょになってるんですよ。水こぼしたみたいに。
2 はあ
雨 で、無いとは思うんですけど、このまま寝てたらわたし溺れちゃうんじゃないかって思って、心配になっちゃって
2 ははは
雨 …
2 じゃあ、お薬出しておきますのでーーー(息が続くまでのばして、大きく息を吸う)
a といって医者から出された薬を彼女は飲まなかったそうです。
魔 飲みなさい
雨 なんで
魔 なんでって
雨 嫌いなんだもん
魔 嫌いとか言ってる場合じゃないでしょ
雨 だって
魔 いいから飲みなさい
雨 ↑あ、でも何か、動いてると出ないっぽい、涙
魔 うん
雨 たぶんだけど、動くと汗かくでしょ、だからじゃないかなって
魔 えー
雨 汗も涙も一緒でしょ、成分は
魔 えー、どうだろ
b どうなの?
a ?
雨 △一緒なの!だから、私、走る。走って、汗で発散することにしたのでした。
c 走り↓ました▶①
d ↑走りました▶①
a △これが3日前のことです。
b だから、何から3日前
a 雨が降る日
b 
a でも、実際に走ったのはその次の日だったらしいよ
b ◀①ふーん
ガ 雨止まないね。
b あ、先生来た。
4 学校行かなくていいの?
魔 うん。
a あの子今日も休みだね。
ガ いつから来てない?
b 知らない
魔 家にも帰ってないって。
a え、家行ったの?
b えー、やばくない?
ガ え、お母さんなんか言ってた?
魔 や、逆に聞かれた、何か知りませんか↓って
a ↑知りません。
b や、だってあんまり仲いいわけじゃないし
魔 そんなこと言うはず無いじゃん
b 言えねー
魔 つーか、まじでやばくない
b あー
ガ あー、そか
a 家出少女
b 連続(?)↓殺人事件
魔 ↑殺人事件
a 今まで、何人だっけ

P5-P8

魔 たしか3人
b あー、いつ、この前?
a 3日、くらいじゃん
b じゃあ、いっそ犯人探さない、みんなでボッコボコにして↓、警察につきだそうよ
魔 ↑ふくろ、うける
b そう、ふくろ。に、して、警察つきだそうよ。だってそんなの恐くない(?)いると思ったら
a あー、それ面白そう
ガ えー
魔 なに
ガ あぶなくない?
b よゆーだし、この間ボクシング見たから、テレビで。負ける気しないし
a でもぜったい変態だよね
b うん
a 犯人
b ちょっと、はやくいこ
ガ ごめん
魔 もう、いっつもだよね、しかたないけど
a まあ、いいじゃん
ガ どこ行くの?
a ちょうど1ヶ月前です。最初の少女が死体で発見されました。
b 二人目は19日前、三人目は3日前です。
a 直接お話をうかがっていきます。

 映像「証言① 家出少女連続殺人事件1人目の被害者 栲機千千姫萬姫めくる」

a お名前は?
め 栲機千千姫萬姫めくるです。
b あー、あ、すみませんもう一度
め たくはたちぢひめよろずひめの、めくるです。
b あー、めくるさん
め みんな、そう呼びます。
b じゃあ、めくるさん、お話うかがえますか?
め はい…
レ えやー!

 レミングちゃん様の首にくくられた紐がめくるのスカートの裾につながっている。レミングちゃん様が首を吊ると、めくるのスカートがめくれる。

め ひゃあ!いやな風…
a ↑おお
め 見た?
1 いや
め 見たでしょ、チラッ(花の横から顏を出す)
1 や、見てないし
め うそ、ぜったい見た。エッチな目してるもん、変態!
b なるほど、それから
め …ごめんなさい
b はい
め ここから先のことは知らないんです。
a 何も?
め ええ、何も
レ やー(首をつる)
め (スカートがめくれる)ひゃあ!いやな風…
a 何これ
め 見た?チラッ(花の横から顏を出す)
1 や、見てないし
め うそ、ぜったい見た。
b ↑あの、すみません、つづきを〈聞かせてください〉
め あ、ごめんなさい。
b はい
め わたしにはこれしかないんです。
b つづきは?
め わかりません。わたしはこれしか知らないんです。
レ えやー
め ひゃあ(スカートがめくれる)
a もういいよ。めんどくせーから、あっちからかたづけよ

 映像「証言② 家出少女連続殺人事件3人目の被害者 プロスーサイダー・自爆長女レミングちゃん様3杯目」

b プロスーサイダーって聞いたんですが、スーサイドって、つまり自殺ですか。
レ そう、私はプロ・スーサイダー、本物よ。自殺するする言って軽く手首切るだけのかまってちゃんちゃんメンヘラJCJKとは一緒にしないでくださいな。
a はあ
レ わたしは、いつだって本気なの、なかなか成功しないけど、必ずやり遂げてみせるわ、見てなさい、えやー!
め きゃあ!(スカートがめくれる)
1 ひゅー!
め もう!やな風…
1 おい!そこのあばずれ
め まあっ、酷い言葉…、わたしには栲機千千姫萬姫めくるっていう立派な名前があるのよ
1 めくる?めくられる、の間違いじゃあないのかい?
め まあ、ひどい
レ ぐえぅ(首を吊る)
め (スカートがめくれる)きゃあ!もう、やな風…
a 混沌としてるね。
レ 自殺のためだったら、この命だって惜しくない、ほんとよ
a 自爆少女ってことは…
レ ↑長女!
a 長女?自爆長女(?)ってことは、じゃあ、彼女は自殺だったの?
b や、完全な他殺、それは↓それは無惨だったそうよ。
魔 ↑それは
b 犯人のこと覚えていますか?
レ それは、言えないわ。
a 言えないってことは、覚えているってことですよね。
レ それは、↓言えないわーーー(息が続くまでのばして、大きく息を吸う)
魔 ↑言えないわーーー
4 なんで?別にいいけど

 間。雨音。

魔 雨止まないね
4 そうだね
魔 うん
4 なに?
魔 や、傘無いから、雨止むまで帰れないなって
4 べつにいいよ
魔 いいの?やった
a また見つかったって
b え、何?
魔 でも、どこにも行けないね
a △家出少女
b 死体で?
魔 なんかお話して
4 おはなし?え、なに
b むかーし、むかし、なにもありませんでした。
a 終わったね。
b うん、終わり。
魔 海外行ったことある?
4 あるよ
魔 どこ
4 エジンバラ
魔 ってどこの
4 どこ?イギリスの
魔 ↑アフリカ?
4 や、イギリス
魔 嘘だ、アフリカだよ絶対、エジンバラだよ
4 や、おれ行ったから
魔 アフリカに?
4 あーうん、じゃあ、そうかも、アフリカだったかも
魔 でしょ
4 うん
魔 なんかお話して?
4 なんの?
魔 エジンバラっていうか、アフリカ
4 アフリカ?
魔 うん、おはなし
4 や、アフリカって、え、南アフリカ?
魔 ↑昔々、あるところに
4 え、なに、昔話?
魔 (笑って)だめ?
4 うーん
魔 はい、昔々、あるところに、
4 …ちょっとまって
魔 おそい、じゃあ私が話す。
4 うん
魔 いい?
4 うん
魔 昔々、あるところに
4 おじいさんが
魔 もう話しない
4 ごめんって
魔 ↑しなーい( ,,Ծ ‸ Ծ,,)………(しぶしぶ)むかし、むかし、あるところに…、えーと、一つの国がありました。
4 うん
魔 その国には大変立派な王様がおりました。
c 王様は国民から大変慕われておりました。

P9-P12

d 王様は英雄でした。
e 王様は戦争の時も先頭に立って、なんかカリスマでした。
f 王様はもてもてでした。
g 王様は…えーっと…眼鏡でした。
魔 王様やって
4 あー、うん
魔 はい
4 あー、王様です。
魔 王様は、です。とか言わない
4 あ…、わしは王様じゃ。
魔 王様はまだ、24、5歳でした。
4 わたしが王様である。(4↓王)
d 王様、東の魔女が悪さをして、民が困っています。
王 悪さ、たとえば
c 子供たちがさらわれているそうです。あと、麻薬の密売とか、中東から武器や弾薬を受け取って紛争地帯にばらまいているそうです。
f うそだろ。
e なんか子供をさらってなんかしているようです。いかがいたしましょう。
王 また、魔女の仕業か。ようし、わしが行ってみよう。
魔 わたし
王 よし、わたしが行って成敗しよう。
魔 王様は4人の兵隊を連れ魔女を退治しに行きました。
王 この国には4人の魔女が住んでいました。
魔 東の魔女以外の3人の魔女はアホでした。
王 なんで
魔 なんでも、はい、次
王 魔女の家に着きました。
魔 はやい!はやくない?
王 うーん、ごめん、眠いかも
魔 ↑その間に4人の兵隊は王様の身代わりとなり、無惨に散っていきました。
王 まじか
魔 そして、王様も重傷を負いました。
王 なんで?どういう状態?
魔 なんかイバラで、あ、魔女の住む森はイバラの森だったのでした。
王 あー、あれ、これアフリカだっけ、森とか無くない?
魔 アフリカ馬鹿にすんな、あるし、森くらい
王 あー、そう
魔 はやく
王 なに?
魔 王様
王 あー、ぐぅ…
魔 …
王 満身創痍じゃ
魔 …
王 ぐぅ…

 間。

魔 昔々、大雨が降り↙〈ました〉ありました。大雨がありました。
雨 その雨はどこで降りましたか。
魔 世界中で降りました。走るのやめちゃったの?
雨 やったよ
魔 どのくらい?
雨 10分くらい
魔 だめじゃん
雨 だって…なんか、膝痛かったんだもん
魔 止まったの?なみだ
雨 走ってる間はね
魔 だめじゃん
雨 また、明日走るから
魔 薬飲みなさいよ
雨 はあい

 雨子外へ。近隣のコンビニまで行きアイスを買って食べながら帰って来る。

レ やー
め きゃあ!(スカートがめくれる)もう、やな風
a 最初の少女が殺されたのが1ヶ月前
b どの子?
a あの子
め きゃあ!(スカートがめくれる)もう、やな風。見た?
1 見てないよ
め うそ、ぜったい見た
a で、3人目があの子
レ やー
め きゃあ
a あ!
ガ なに
a これって、あれじゃない
b なに?
a あれって、物語のはじめのシーン…じゃん
魔 どういうこと
a や、ほらスカートまくれてめくれてパンチラで恋しちゃう的な
ガ ああ、え…ああ
b ↑あーね、あるある
a で!で、で、レミングちゃんで、自殺で、これが終わり
b うん
a 犯人は、この連続殺人を通して、何かストーリーを…
b 作ろうと
a ↑生み出そうとしているのです、考えすぎか
b あー、でもあるかも、犯人絶対ニートの暇人だよ、キモ過ぎ
魔 じゃあ、2人目は?どういう意味あんの

 映像「証言③ 家出少女連続殺人事件2人目の被害者 ガンタン子」 

ガ 雨止みませんね
3 …
ガ いつから降ってましたっけ
a お名前は?
ガ ガンタン子です。
a うん…
ガ ふざけてるって思いますか?
3 や
ガ や、慣れてるんで、ほんと
3 や、まじで。いいと思う、全然ありっていうか、かわいいよ…うん
ガ …ありがとう、ございます。あ、何か必要なことあったら言ってくださいね。あ、あんまりないですけどね、できること、わたし
3 いいよべつに
ガ 雨、止みませんね。
a うん
b 犯人について、なにか、覚えていますか?
ガ わたし、夢を見るんです。
3 うん
ガ 毎日、夢を見ます。
3 うん
a 同じ夢ですか?
ガ ↑はなし、聞いてくれます?あ、同じ夢です。
3 毎日、同じ夢みるの?
ガ あ、うそ、うそです。毎日は見ないんですけど、よく、見るんです。見る夢があるんです。
a うん
ガ わたし、生まれたときからこうだから、わかんないんですけど、…足で地面踏むってどんな感じですか
3 どんな…、うーん、なんだろ、グっていう…や、なんだろ、あらためて聞かれるとわかんないね
ガ あ、大丈夫です、ごめんなさい、難しいですよね。
3 や
ガ わたし、夢を見るんです。
3 うん
ガ …足が、生える夢、生えるっていうか普通に足がある夢、で、歩くんです、裸足で
3 うん
ガ でも、起きたら、そのときの感覚忘れちゃってて、だから、どんなかなって、それだけなんですけど、つまんないですよね、わたし
3 あー、でも、おれも見るよ。女になる夢とか、こう胸があってさ。で…
ガ ああ…
3 ごめん、ちがうか、ごめんね
ガ ぜんぜん〈大丈夫です〉
3 …こっちおいで
ガ え、なんで
3 いいから
ガ …
3 キャタピラだってかわいいよ
ガ …ありがとうございます
3 ほんとに。キャタピラの機動性はすごいんだって、人間の足なんかより
ガ ↑べつに、いいんです、機動性なんかなくて。だって、わたし、東京から出るつもりもないし
3 でもさ、東京で戦争が起こったら
ガ 起こりませんよ。
3 や、もしも
ガ ↑起こりません…。起こっても、え、戦争起こったら、わたし、戦わなくちゃいけないんですか
3 …
ガ べつに軍隊、自衛隊に入ったわけでもないのに、わたし一般人ですよ
3 うん…ごめん。なんか…、ごめんね、なんか飲む?
ガ あ、ごめんなさい、別に…、ごめんなさい。あ、水で、お水でいいです。
3 雨止まないね。
ガ そうですね
3 なんか、眠い、ちょっと寝よっかな。10分したら起こしてもらえる?
ガ あ、はい

P13-P16

3 一緒に寝よっか
ガ え…

 間。

3 うそ。うそうそ、ほんとに違うから。
ガ あ、はい
3 ごめんね(寝る)
魔 起きた?
王 ん…

 間。

王 何時?
魔 何?
王 今、時間
魔 あー、今日は月が無いからなあ。わかんない。
王 …そっか

 間。

魔 お腹空いてる、よね?
王 うーん
魔 (料理を出して)はい
王 あー、ありがと。え、ていうか、作ったの?
魔 そうだけど
王 なんもなかったでしょ
魔 …なに?寝ぼけてんの?
王 …や、ああ、うん
魔 話のつづきは?
王 なに?
魔 つづき、王様
王 あー
魔 うん
王 えー、っていうか寝た?
魔 ううん
王 眠くない?寝ないの?
魔 眠くない。寝ない。私、魔女だし
王 まじか
魔 早く、つづき
王 えー、横になったら眠くなるかも
魔 ならない
王 試しに、ほら
魔 は?
王 ほら、寝ようよ
魔 食べないの?
王 あー
魔 お腹空いてるって言ったじゃん
王 ああ、うん
魔 食べないならいいよ
王 うそ、食べる食べる。(食べて)うま
魔 ほんと?おいしい?
王 うまいよ
魔 よかった
王 あ、でも、冷蔵庫なんもなかったでしょ、買いにいった?
魔 うーん、うん
王 肉うまいね。久しぶりに食べた。牛?
魔 ふっふっふ
王 なに?
魔 それは子供の肉じゃ
王 マルエツで買ってきた?
魔 そうじゃ、マルエツプチで買った子供の肉じゃ。100グラム198円じゃ
王 まじか、子供うまいね、子牛?
魔 子牛の肉、そんなに安く買えないし
王 そっか
魔 ケガの具合はどうかね?
王 あー…
魔 どうかね?
王 あー…、うむ、まだ少し痛むが、大丈夫じゃ
魔 それはよかった。ほら、もっと食べるがいい
王 うむ。でも、いいのか?
魔 何が?
王 そなたの分が無くなってしまうんじゃないか、わたしはいっぱい食べるからな
魔 ははは、大丈夫じゃ、わたしはどうせひとりだし
王 …そうか

 間。

王 なんで、助けた?
魔 えー、べつに…
王 なに?
魔 まあ、ケガしてたら助けるじゃん、ふつう。
王 そうか
魔 それに、わたし、学校女子校だし。
王 うん
魔 だから、出会いとかないから、みたいな
王 そっか
魔 うーん、寂しいじゃん、一人だと、寂しくない?
王 まあ
魔 あー、でもごめんね。一緒に来た人達は、さすがに無理だった。
王 そうか…
魔 死んでたし
王 …

 間。

魔 なんかごめんね。私のせいだよね
王 や
魔 彼女いないの?
王 …うむ
魔 へへ、じゃあ、一緒だ。

 男3、ガンタン子に膝枕する。魔女寝転がる。

魔 やっぱちょっと眠いかも。寝ようかな。(寝る)
王 うん
a 魔女はすやすやと無防備な顔で眠ってしまいました。
1王 やべえ、キスしたい。
め ↑きゃあ!(スカートがめくれる)いやな、風
b さっきの話だけど
a うん
b めくるちゃんが始まりで
レ うげぅ!
め きゃあ!(スカートがめくれる)いやな、風
b レミングちゃんが↓終わりだとして
レ ↑様!
b レミングちゃん様が終わりだとして
a うん
b じゃあ2人目のあの子はなんなの
3 冷たくて気持ちいい
ガ 硬いですよね、痛くないですか?
3 そんなことないよ、ちょうどいい。おれ枕、硬い方が好きだし
ガ でも…
b 硬すぎじゃん
a w
3 おれさ、ほんとにいいと思ってるんだよ。これ。キャタピラ(?)
ガ …
3 きれいだよ。
ガ …はい
3 ほんとだって
ガ わかってます
3 なんか安心する
ガ 変なの

 間。雨子帰宅。

3 話のつづき、聞かせて
ガ どの話ですか
3 走るやつ
ガ どこまで話したっけ
3 涙が出て走るって言って10分しか走らなかったってとこまで
ガ あ、そっか、えと…彼女は結局次の日も走らず、近所のコンビニ行って帰って来てしまったそうです。そしてやっぱり薬も飲まなかったそうです。
雨 ばびべべびぶくぶくぼあううえぇ…ぼこぼこぼこ…
ガ その翌日彼女は溺れて目を覚ましました。
b で、無いとは思うんですけど、このまま寝てたらわたし溺れちゃうんじゃないかって思って
雨 ぶくぶくぶくぶく…
ガ (雨子の台詞と同時に)そして窓を開けると町が沈んでいました。水に。
c ↑涙に
魔 薬飲まないから
雨 ぶくぶく!
魔 △くすり!
d 窓を開けた拍子に薬はどこかに流れていきました。
雨 どうしよ
c そうこうしているうちにも、彼女の目からは涙があふれてとまりません。
d このままでは世界中が水浸しになってしまうわ
b 彼女はそう思い。まだ涙に沈んでいない場所を目指して泳ぎました。
ガ 数百メートル泳ぐと、あ、彼女の家は地形的に下…谷底

P17-P20

e ↑彼女の家は四谷の谷の底にあったので、少し泳ぐとまだ沈んでいないところが、ところに着きました。町が涙に沈んだと言ったのはちょっと大げさでした。
b ↑東京都新宿区若葉2丁目4-3
c 彼女にはちょっと大げさに言う癖がありました。
雨 どうしよう
魔 大変な事になったね
雨 あー…ね
魔 原因はきみだよね
雨 あー、どうだろうね、グスン
魔 みんなに言ってやろ
雨 ウエーン
魔 薬を飲まないからこんなことになるんだよ
雨 や、わたし飲んだし…
魔 ↑飲んでない。嘘を言わない。
雨 …ウエーン
魔 どうするの?
ガ そうしているあいだにも、彼女の目からは涙があふれて止まりません
魔 走ろっか?
雨 (しぶしぶ)うん

 雨子、王様と背中合わせで腕を組む。王様は前屈みになり、雨子は王様の背中の上で足をばたつかせる。魔女と発話者を除き走者の辛そうな呼吸をする。

c 彼女は走るしかありませんでした。
d 走りました。▶①
e 走りました。▶①
ガ 20分走りました。
b 疲れました。▶①
ガ 止まりました。
c 涙が溢れました。▶①
雨 また、町が、一つ、沈みました。
ガ 走りました。
雨 走り、ました
f 疲れて
雨 止ま、りました。
g 町が、また、一つ、沈み、ました。
h 彼女が止まる度に、町が、一つ、沈みます。
a 町の人の悲鳴が聞こえてきました。
g わあ
h きゃあ
雨 逃げる、ように、走り、ました。
h 彼女は、もう走るしかありませんでした。
ガ 無我、夢中で走りました。
魔 がんばれ
雨 がん、ばっ、てるよ
g 意識が、朦朧としてきたそのとき
f 気づくと、隣に並んで走っているランナーがいました。◀①

 雨子4から離れて、場内を反時計回りにランニングする。
 
雨 高橋、尚子、でした。わあ、Qちゃんだ、すごい、あの、すごい、見て、ました、金メダ、ル
b Qちゃんは、声をかけてはくれませんでした。
ガ が、しかし、しばらく並んで走ったのち
雨 こっちを、見て、にっこり、笑う、と
c Qちゃんは、彼女にあるものを手渡しました。
g そして、もう一度にっこり微笑むと
h Qちゃんは、彼女をおいて先に行ってしまいました。
雨 やっぱ、り、速い、なあ
f Qちゃんは去ってしまいましたが、その笑顔は彼女に大きな勇気を与え、
ガ そして、彼女の、その手に握られたそれは、Ta rza nでした、雑誌の
1 Ta rza nです。はじめまして。じゃあ、今日からがんばっていきましょうか。

 1、美しいフォームになるように雨子を指導する。魔女と発話者以外の呼吸、次第に穏やかになる。

f ↑彼女の手に残されたターザンには、走ることについて彼女の知らないことがいっぱい書いてありました。
雨 目から、鱗が、おち、ました。
h ターザンとの出会いは、今後の彼女の人生を大きく変えることとなるで…
ガ ↑変えたのでした。
c ターザンには、長い距離を走るためのあらゆる手段が書かれていました。
雨 私は、その、教えに、したがって、あらゆる、無駄を、無駄な、動きを、なくす事に…
b そうして、彼女のランニングフォームは、次第に、美しくなっていったのでした。
c 山を越え、海を渡り、ミニマリズムを追求した完璧なフォルム

 美しいフォームになった雨子、会場を反時計回りにゆっくりと歩く。呼吸フェードアウト。

h そのあまりの美しさに人々は驚き
d なんて美しいんだ
ガ 美しい
f 彼女の姿は瞬く間に全世界に知れ渡りました。
a 見た?
魔 見た!
a すごくない?わたしも、あんな風に走りてーよ
c そう?
a え、だってすごくない
c でも骨格が違うらしいよ、そもそも
魔 足長いもんね
a そう、スタイル超いい
魔 やっぱ色の黒い人は違うよね
a わたしも黒くなりたい
c 日サロ行けば
魔 日サロ!wwつーか日サロってまだあんの
a わたしも黒人に生まれ変わりたい
レ つーか、もう死んで生まれ変わりたい
c でも、引退するらしいよボルト
a へえ、もったいな
魔 アフリカの人ってなんで色黒いの?暑いから?
王 あー
魔 じゃあ、日焼けしてんの?生まれたときは白い?
王 や、生まれたときから黒いでしょ
魔 なんで
王 なんでって、あー、でも、人間、最初の
魔 うん
王 人類が誕生したのはアフリカって言われているから
魔 そうなの?
王 タンザニア?たしか
魔 へえ
王 だから、もともと、黒いのが普通で、まあ、ふつーっていうか、まあ、普通で、だから、そのあと白くなったり、黄色くなったりっていうのが正しい。気がする。
魔 じゃあ、黒い方がエラい
王 別にエラくはないでしょ
魔 ふーん

 魔女、王様の身体を黒く塗る。

a つーか、結局犯人わかった?
b あー…ね
a つーか、うちらなんで犯人探してんだっけ
b あー…ね
ガ さがしてるんでしょ。家出した…あの子
a あー…それ、そうだった
b そうだったw、犯人探すことばっかり考えてた
a あの子ってどんなだっけ。やべ、顏思い出せないかも
ガ 名前は?
b 名前はー▶①
2 レミングちゃんは
レ ちゃん様!
2 レミングちゃん様はさ
レ なに
2 なんで自殺すんの?死にたいの?
レ 別に死にたいわけじゃないし
2 は?
レ 別に死にたくないよ。むしろ生きたい。
2 なにそれ。じゃあ
レ や、わたし、が、死にたいって思ってるんじゃないって意味ね。
2 うーん、うん
レ 日本の自殺者はだいたい3万人でしょ。年間。
2 そうなの?
レ で、行方不明の人がだいたい8万人。その中には自殺して見つかってない人もいるかもしれない、1万人くらい。だから年間平均4万人として
2 4万
レ そう、4万。多いのか少ないのかわかんないけど、だから、私が年間1万回自殺したら、1万人の命が助かるってこと
2 あー…え?
レ だってそういうことでしょ。平均4万人だもん。だから目標は年間4万回。そうしたら、日本の自殺者は0人に、じゃない、わたし1人になるんだよ。すごくない。
2 すごいね
b ◀①名前はー(次の発話までのばす)

 b、はさみでレミングちゃんとめくるを結ぶ紐を切る。

a え、なんで
b (大きく息を吸う)あー、なんでだろ、なんとなく

P21-P24

魔 あー…ね
b 栲機千千姫萬姫めくるちゃんは物語のはじまり、そして、自爆長女レミングちゃん様3杯目ちゃんは物語の終わり、私たちはそう思っていたけど実は違ったのです。
魔 あの子全然死なないもんね
b そう、自殺って言葉に惑わされていたの、わたしたちは。
a プロスーサイダーってプロだったら死に損なうはずないし、でもそもそも死ねるのは1回だけなんだから、プロともよべないよね
b そう、プロスーサイダーなんてものは最初から存在しえないのよ
魔 え、じゃあ、あの子、嘘吐いてたってこと
b そして、めくるちゃんも、今や物語のはじまりではなく、ただの場面のきりかえのきっかけでしかなくなっている。
a たしかに
b 最初からこんな紐断ち切ってしまえばよかったのだわ
a たしかに
魔 じゃあ、結局犯人は誰だったの?
王 家出…
魔 …なに?
王 家出…何でしたの?
魔 …
王 別に言いたくなければいいけど
魔 …忘れた
レ 忘れたー
め 忘れたー
a 忘れたー(息が続くまでのばして、大きく息を吸う)
ガ …
王 そっか

 間

魔 (aが息を吸う、その呼吸に合わせて)しばらくいていい?
王 うん、いいよ
魔 やさしいね
王 やさしいよ
魔 へへ

 王様、魔女にキスをしようとする。

魔 ちょ…
1 なんで
め や、だって、えー…
1 いや?
め いや、っていうか、会ったばっかじゃん
1 関係なくない?
め んー
1 好きだよ
め 会ったばっかなのに?
1 嫌い?
魔 んー、ていうか私魔女だよ
1 もういいから
め なんか怖い
1 怖くないよ
め んー…

 めくる、魔女泣く。

1 え、あ、ごめんごめん
め うー…
1 ごめん、怖かった?
め (うなずく)ちょっと…

 間。

め わたしね…
1 うん
め はじめて、したのが
1 うん?
め 聞いてくれる?
1 うん
め わたし、はじめてしたのが、10歳で
1 え、相手は?
め 友達のお父さん
1 おー…
め で、それは、別に嫌じゃなかったんだけど、でも、バレて、したことが、友達が見てたんだよね、あ、そのお父さんの子供じゃない、別の子ね
1 うん
め 学校で噂されて、先生にもバレて、親にもバレて、向こうの家族も離婚したりで、めちゃくちゃになって
1 …
め 中学生になっても、すぐ噂広がって、先輩とか、呼び出されて、やらせろって強要されたり。わたし、別にビッチじゃないのに
1 うん
め でも、本当、そんなことは本当にどうでもよくて、本当に悲しいのはね…
1 …うん
め お母さんも、お父さんも、みんなと同じ目でわたしを見るんだよ(泣く)
1 …そっか
め わたしの居場所なんか、どこにもない、うー

 間。

王 あのさ…
め うん(うなずく)
王 好きなだけ、いていいから、ここ
め ほんとに
王 うん
魔 信じていい?
王 うん
魔 裏切ったら絶対許さないからね
王 わかってるって
め 呪うからね
王 こわ
魔 ひひひ
b 王様は魔女と寝てしまいました。
a 子供にそんな話して大丈夫?
b 魔女のテクニックはすごかったのでした。
a 子供にそんな話して大丈夫?
王 おー、え…まじか、え、これ魔法?
魔 うん。だてに長生きしてないでしょ
全男 んー
魔 なに?
全男 んー
魔 もっかい?
全男 んー
魔 そいえば、なんでこんなところまで来たのじゃ?
全男 んー
魔 私に会いにきたのじゃろ
全男 んー
魔 大丈夫?
全男 んー
魔 もっかい?
全男 んー
魔 まあ、ゆっくりしていっていいからの
全男 んー
a 王様の頭の中は霧がかかったようにぼんやりとしていました。
b なにか大事な用事があったような
a なにか大事な用事があったよーな
b 王様の頭の中は魔女のあのテクニックでいっぱいでした。
2 んー
レ なに?
2 んー
レ …雨止まないね
2 そうだね
レ …
2 どうかした?
レ うん、や、別に
2 レミングちゃんはさ
a ちゃん様!
2 レミングちゃん様はさ
レ なに?
2 なんで、そんなに勉強してんの?
レ それはわたしが受験長女レミングちゃん様でもあるからでした。
2 でも死ぬんでしょ
レ 死ぬよ
2 じゃあさ
レ ↑死ぬけど!…勉強したっていいじゃん
2 …
レ 日課としてやってれば、自殺、いつわたしが死んでも悲しまないでしょ、だれも
2 お母さんとかお父さんとか、悲しむでしょ
レ わたし、いないからお父さんも、お母さんも
2 そうなの
レ うん、その辺ちょっと複雑なんだよね、気にしてないけど
2 ふーん
レ …
2 聞いていい?
レ いいけど、めんどくさいよ
2 話すのが?
レ うんw、べつにいいけど。うーん…、わたし、今、義理の父の実家に住んでいるのね
2 …
レ ほら、めんどくさいでしょ
2 うん、や…うーん、義理…?

P25-P28

レ お母さん、本当のお母さんね、私を産んだ。
2 うん
レ そのお母さんが、再婚して、私が幼稚園のときに。で、その相手が義理の父ね。
2 ああ
レ で、私が小学校の4年生の時に、二人ともどっか行っちゃって、わたし置いて、ひどくない?
2 へえ
レ へえ、ってw。や、でさ、お母さんは実家と縁が切れてたから、その義理のお父さんの実家で、住まわせてもらってんの、わたし
2 他人じゃん
レ そう、他人、うけるでしょ
2 うけないけど
レ うけてよ。でないとレミングちゃん様泣いちゃうよ、うえーん
2 ははは
レ 乾いてるから
2 ごめん
レ でも、別に他人でもいいっていうか、そっちの方が楽なのかも、血がつながってるより、わかんないけど
2 そう…、か
め 走りま↓した。▶①
ガ ↑走りました。▶①
レ △や、ほんと。っていうか、わたし感謝してるんだよ、すごく。だってわたし他人なのに、家においてくれてるんだよ。すごいよね、神じゃん
2 うん
レ 高校卒業したら、家出て一人で生活しなきゃいけないし、それなら、やっぱりいい学校行って、自立しなくちゃいけないじゃん
魔 それで、今まで育ててもらったお礼とか…、なんかわかんないけど、わたし、すごく感謝してるんだよ
2 じゃあ、なんで自殺なんかすんの
レ …
2 (平坦に)つーか、本当に死ぬ気なんてないじゃん、全然。何、自爆長女って、そもそも長女でもないだろ、ばーか。もう、そういうの古いから、ださいよ、つーか、さむい、うざい、死んだ方がいい
レ だから死ぬって!言ってんじゃん。↓死にたい死にたい死にたい死にたい…
a ↑she knee tie she knee tie she knee tie…(シーニータイ…)

 bレミングちゃんの首の紐を、盲目の少女の足にかける。

b えやあ!

 レミングちゃん首を吊ろうとする。2、盲目の少女の足につながれた紐をひっぱる。レミングちゃんのスカートの中から盲目の少女登場。雨子とぶつかる。◀①

 映像「証言④ 盲目の少女(16)」
 雨子、反時計回りに会場を歩く。2、盲目の少女の足の紐を引っ張り、それについていく。

ガ 彼女は山でひとりの少女に出会いました。
魔 彼女は山でひとりの少女に出会いました。
雨 あ、ごめんなさい、大丈夫ですか
a 少女は目が見えませんでした。
盲 いえ、いいのよ、大丈夫
雨 じゃあ
盲 ちょっと待って
雨 ごめんなさい、わたし止まっては行けないの
盲 ちょっと待ってって
雨 ごめんなさい
盲 あなたはどこからきたのかしらしら
雨 私は東京から来ました。
盲 東京?↓where?
a ↑Whereare you from?
雨 東京は日本の、あー、Ja Pa N、わかる?
盲 OH!Ja Pa N?それ知ってる。でもどこにあるかわたしは知らないのいの
a Wha t kind of pla ce is Tokyo?
b そこはどんなところですか?
雨 どんな、あー、ビル、とか、あ、ご飯がおいしいよ、米
盲 It's wonderfulful!どうしてあなたは走っているのるの
雨 うん、話せば長くなるんだけど
盲 じゃあ、結構。それより、わたしの話を聞いていて
雨 OK
盲 もうすぐ、子供が生まれるのるの
雨 おめでとう
盲 やだ、わたしの子供じゃなくってよてよ、うちで飼ってるアルパカのクォカーチョの子供よもよ
雨 そう
盲 クォカーチョはすごいのよのよ
雨 うん
盲 その毛の品質で最高の賞をもらったのだから
雨 へえ、すごいね
盲 クォカーチョの毛は本当に軽くて暖かくて、お日様みたいないい香りがするのるの、本当よ。
魔 お日様に匂いはないよ
盲 あなたお日様の匂いも知らないの?東京って町には、お日様がないのかしらしら、変なところねろね
雨 …
盲 あー、で、その子供が生まれるのーーー(息が続くまでのばして、大きく息を吸う)
雨 …そう
ガ そんなこと、かんたんに言わないでよ
3 かんたんになんか言ってないって
ガ わたし、お母さんもガンタンクなんだよ、それ、どういうことかわかる?
3 や、わかるけど
ガ わかってないよ、子供ができて、自分の子供が、私と同じだったら
3 大丈夫だって
ガ 私が、大丈夫じゃないの、私が、愛せる自信がないの、だから、そんなこと簡単に言わないで
3 だから、簡単になんか言ってないって、大丈夫だから、おれはちゃんと愛せるから
ガ 全然、わかってない!
盲 あら、機嫌を悪くしてしまったの、ごめんなさいなさい
雨 べつに
盲 それでね、そう、子供が生まれるのるの
雨 うん
盲 でも、クォカーチョは、もうおばあさんだから、子供を生んだらきっと死んでしまうわうわ
雨 そう
盲 クォカーチョはこの村で生まれて、どこにも行かずに、そして、死ぬのよのよ。そんなのって…
雨 …
盲 でもね。クォカーチョの毛を原料にした、セーターやマフラーはいろんな国で売られているのよ。それも、うんと高値でねでね。きっとあなたの生まれた町でも売られているわ
雨 うん、きっとね
盲 でも、わたし、わたしだって、遠い国へ行ってみたいわ
雨 うん
盲 あなた、これから、どこへ行くの?
雨 さあ、わたしにもわかんないよ
盲 いい事を思いついたわたわわ。私、糸を紡ぐわぐわ、最後のクォカーチョの毛を使ってって
雨 そう
盲 だから、海まで、その糸をつないでほしいの、わたしは、あなたが走るスピードに合わせて、糸を紡ぐから、そうすれば、わたしはこの指先から世界を感じる事ができるのですからから、えい!
雨 えー、まあ、いいか
盲 アディオス!知らない人!
雨 アディオース
c 彼女はクォカーチョの毛糸を尾にひき流星のように走りました。
b お日様の匂いは世界に広がり、世界はちょっとだけほっこりしました。
盲 世界は毛糸で覆われました。
c これが、地球温暖化の全容です。
d や、嘘だろ
a 地球は巨大な毛糸玉になりました。
盲 そこへ巨大猫星人が毛糸玉となった地球をころころしにきました。
b かーわいーい
d や、嘘だろって
c 猫にころころされたおかげで地球は太陽系の軌道をはずれ、銀河系を抜け、遠い旅路に出ました。
盲 宇宙船地球号の誕生です。
ガ ↑そう、嘘なのでしたが、世界中の人々によくわからない勇気と感動を与えた雨子、そう彼女の名前は雨子なのでした。
a 雨子は世界中の人々によくわからない勇気と感動を与え賞賛されましたが、それはほんの一瞬のことでした。
盲 これが一日前のことです。
ガ そうです。まもなく、雨が降ります。
魔 世界を滅ぼす大雨です。

 間。雨音。盲目の少女、レミングちゃんのスカートの中に帰る。

1 雨止まないね。
め 飽きた?

 間。

1 なに?
め 最近全然してくれないじゃん
1 したいの?じゃあしよっか
め やだ
1 なんで?したいんでしょ
め やだ、したくない
1 しよ
め やだ。ていうか、そういうんじゃない、全然わかってない。もういい、家帰る
1 雨降ってるよ。

P29-P32

め わかってるよ
1 ちょ
2 コーヒー飲む?
a うん
b △うーん、うん
め △…
レ △うん
ガ △あ、はい
2 この豆はね○○(国名)の○○(農園名)ていう農園の豆で、その農園の高度は海抜1400mくらい。ちょっと浅めに挽いてコーヒーが持つ本来のフルーツみたいな香りを…って、興味ないよね。
a そんなことない
b △うん、ない
2 飲まない?
a 飲むよ
b △飲むけど

 a、bコーヒーを飲む。

2 どう?
a うん、おいしい(?)と思う…わかんないけど
b △苦みは…少ないけど
2 けど
a おいしい
b △やっぱ無理
2 じゃあ砂糖だすね
a わーい
b △わーい

 a、bパンとコーヒーで食事。フリーター、パンとコーヒーを会場に配る。

 映像「目撃者の証言」

1 それは、ある早朝のことでした。わたしはその頃、深夜、有明の工場で働いていて、だいたい、毎日始発に乗るんですけど、始発が出るまでにちょっと時間があるんです。それで、その日は前日に雨が降っていたので、朝から湿度がすごく高くて、熱帯のような感じで、ここどこだよ、日本だろ、でもこのままだと日本も何年後かには、熱帯になってたりするのかもな、とか思ってローソンでアイス買って食べて始発を待とうと思いました。それで、ローソンでアイス買って、出たところに草むら(?)、が、あるんですよ、すごく背の高い雑草が生い茂っていて、で、その草むらの影に、犬がいました。ちょっと見たこと無い種類の痩せた犬で、でも、首輪も付けていなくて、すごく痩せた犬でした。で、その犬が何かをくわえていて、でその何かって言うのが、そんなことないだろうとは思うんですけど、…わたしには人の足に見えました。
2 あー、なんか、夏なのに上下真っ黒い服を着て暑苦しいなと思いました。右手に、今時、黒いゴミ袋を持っていて、このくらいの、で変だなあって思って、でも、あんまり見てもあれかなって思ったので、たしかではないんですけど、その黒いゴミ袋から、なんか雫が垂れていたように思います。わたしには、その雫が、血のように見えて、その時は気づかなかったけど、たしかにあれは血でした。その男は、目も虚ろっていうか、ちょっと怖い感じでしたね。で、たしか眼鏡を
1 眼鏡をかけてました?
2 眼鏡をかけてました。
1 かけ、てたっけ?
3 かけてたよ。
1 銀縁のインテリっぽいやつ
2 じゃあ、おれじゃないってことでOK
1 今、かけてないだけかもしれない
2 まあ、そうだけど
3 それは、その人は、いかにも犯罪おこしそうな感じですか?
1 でも会社ではまじめに普通にまじめでしたよ。特にトラブル起こすことも無かったし、あー、でもそうやってストレス溜め込んでいたんですかね
2 名前は覚えてる?
a 覚えてないっていうか、聞いてないし
2 じゃあ、アカウント名は?
a 毛?
3 毛?
a 毛。だった気がします。
3 毛って、毛?
2 はげてた?
a 生えてました。普通に

 b、王様の髪の毛を抜く。

王 あ!
魔 びっくりした。え、なに?
王 あー…
魔 どしたの?
王 うむ…

 間。

魔 …何か思い出した?
王 …うむ
魔 そか

 間

魔 で、どうしたの?
王 うむ…
魔 あなたは、なんでこんなとこまで来たのですか?
王 うむ…、実は我が国で子供がいなくなる事件が多発してな
魔 うん
王 うむ…
b 結局犯人誰なの?
a …雨止まないね
b あの子、どこいったんだろうね
魔 え、あれ、わたし疑われてる?
王 や…
魔 疑ってるでしょ
王 あ
魔 疑ってるから来たんでしょ、ここまで
王 あ、まあ
魔 でた。はい、でました、え、まじで言ってる?
王 …

 間。

魔 ふっふっふっ
王 …
魔 たしかに、わたしが子供たちをさらったのじゃ。しかし、もうここにはおらん
王 …
魔 その子供は…
王 …
a どこいったんだろうね
魔 ↑お前のお腹の中じゃ!

 間。

魔 …なーんちゃって
王 …
魔 ビビった?ビビった?超ビビってる、うけるんですけど
王 …
魔 ほんと嘘だって、うーそ
王 …いや
a あの3人が嘘吐いてるってこともあるかも
b 犯人をかくまってる的な
魔 殺されたのに?
a どうなの?
ガ ふっふっふっ(立ち上がる)
b なにい!
ガ そうよ、わたしの名前はガンタン子。1月1日生まれの元、旦、子よ!名前にだまされたわね。
c なにい!
ガ ほら、ごらんなさい、これが真の姿、パーフェクトガンタン子よ!↓(以下、つぶやく様に)一年戦争開戦前、地球連邦軍はジオン公国軍のMS開発計画を察知して対MS戦闘車両として完成したRTX-44を、さらにMSとして全面的にリファインした。RX計画の下、タキム社、サムソム・シム社などが参画し、急遽ロールアウトに漕ぎ着けた地球連邦軍初のMSがガンタンクである。複雑な二足歩行システムの完成を待たずに開発されたため下半身が無限機動(キャタピラ)式で、戦車に人間の上半身を乗せたような格好が特徴である。最高速度は70km/hと、通常のMSと比較しては決して速いものではなかったが、重力下でトラブルを抱えることが多かった二足歩行に対し、安定性が良く信頼性も高いという一面を持つ。本機は底部スラスターと姿勢制御バーニアを用いることで、宇宙空間でも運用可能である。しかし、キャタピラを含む下半身はa MBa Cとしては機能せず、運動性は極端に悪かった。そのため、宇宙戦においてガンタンクと遭遇したジオン兵は「タンク(戦車)モドキ」、「モビルアーマーの出来そこない」と評した。地上では、「タンク」「タンクもどき」と呼ばれることが多い。※wikipedia より
魔 ↑わかった、じゃあ、いいよ、わたしがさらったことにして
王 …
魔 わたしがさらって殺した
王 …
魔 それでいいよ、そう言えば、みんな納得するんでしょ
王 …や
魔 わたし魔女だし、そういうの慣れてるから。そうやって結局、西の魔女、北の魔女、南の魔女、3人のあのアホな魔女たちと同じ様に、私のことも殺すのでしょう。
王 や、それは
魔 ほら、わたしの首を持って帰って、そうして王様は英雄になるのでした。
王 や、ならないから
魔 ↑なるのでした。
a レ 王様は魔女を殺しました。
bめ △王様は魔女を殺しませんでした。

P33-P36

aレ 王様は魔女の首をはねました。
bめ △王様は魔女の首をはねませんでした。
a レ はねました。
bめ △はねませんでした。
a レ はねま
bめ △はねま
a レ はねま、しー
bめ △はねま、せー
魔 ばばん!…さあ、はやく、わたしの首を持って帰って、国民を安心させておやりなさい
王 …

 王様葛藤したのち、音響スタッフ(もしくは映像スタッフ)を抱きしめる。男3、ガンタン子を抱きしめる。魔女それに合わせてつま先立ちになる。

魔 どうした?
王 やはり、わたしには、できん
b 性欲が勝ちました。
魔 いいの?
王 かまわん
魔 うれしい、ありがとう。絶対一人にしないでね
王 うん
3 (ガンタン子を抱きしめ)もういいから

 ガンタン子座る。
 王様、音響スタッフ(もしくは映像スタッフ)にキスをする。

王 なんか、喉乾いちゃった。なんか飲む?
魔 うん
王 お酒はだめだぞ、なんて…
a 王様は冷蔵庫を開けました。
魔 あ
a 中には無惨に切り刻まれた子供たちがきれいに並べられていました。
王 わー(腰が抜ける)
b △わー
a どうしたの?
b カビ
a なに?
b 昨日買ったパンにカビ生えてる
a わあ
b 男は魔女の家から飛び出し
a 転げる様に飛び出し
b 一目散に走りました。
c 走り↓ました▶①
d ↑走りました▶①
e 森の中を走りました。
f 道に迷いました。
e 何日も何日も▶①
a 森の中は暗く
b 暗く
盲 昼も夜もわかりません。
め 裏切らないって約束したのに。
魔 昔々、あるところに、4人の魔女が住んでおりました。時々けんかもするけれど、4人はそれなりに仲良く暮らしていましたのに、どうして殺したの?
王 それは、悪さを、するから
魔 悪いことしたら殺していいの?
王 魔女は
魔 魔女は?
王 人間をたぶらかしたり、して、正気を無くして、操ったり、するのだろう
め 結局みんなと同じ目で私を見るんだね。
王 現に、私の記憶を、なくそうとしたではないか
魔 それはわたしのせいじゃないもーん
め もーん、それに
魔 それに?
め 一緒にいたかったんだもん、もーん
魔 もーん
a 頭の中で魔女の声が響きます。◀①
b そのときです。流星の様に輝く一筋の光が見えました。
王 あれは…
b △そのとき、流星の様に輝く一筋の光に出会いました。
王 これは…
雨 どうも
王 あの、どちらへ、行かれますか
雨 ちょっと、わからないんですけど、わたし、走らないといけないので
王 ついて行っても…
雨 あー、どうぞ
魔 行ってはならぬ
a 行ってはならぬと魔女は言いました。
b 森を抜けました。
王 叔父もズレ成田。蛾も、馬場作家、青、無wa y、損保ミ《森を抜けました。あの、やばかった、魔女、すげえ、ほんとに》
a きゃー
b わあ
c しかし町の人はその変わり果てた姿に王様だとは気づかず
魔 なんか校庭に変質者出たらしいよ。
a え、まじ?はだか?はだか?
b やばいやばい、それ、やばい!
c え、どこ。
a ぎゃー、警察、警察呼んで、誰か
b やばいよー
a 王様は魔女と過ごすうちにすっかり人間の言葉を忘れてしまっていたのでした。
王 豆《あれ》
魔 だから言ったのに
a 魔女の声が遠くから聞こえました。
魔 だから言ったのにぃー!
a 王様が振り返るとそこにはあの鬱蒼とした魔女の森は無くなって
c 無くなって、一本の老木が立っていました。
魔 一生一緒にいてくれるんでしょ
王 乗せた《それは》
魔 一生一緒にいてくれるんでしょ
王 立冬引越…《一生一緒に…》
a それからというもの、国を追われたこの哀れな男は、数千年にわたり今でもひとり、アフリカ、タンザニアのどこかで、魔女に捧げる歌を歌っていると言われています。
a そして、その老木こそ、かの有名なバオバブの木です。
め バオバブは恐ろしい伝説を持つ反面、乾燥した大地でも枯れる事がないため、その神秘的な力は古来より信仰の対象として、あ、(携帯を見て)やばい…ごめん、わたし、帰る。
1 え、なんで帰るの?
め え、普通に帰るし、なんで?
1 雨降ってるじゃん
め 雨降ってても帰れるし、ふつーに
1 一生一緒にいるって言ったじゃん
め そういう意味じゃないじゃん、え、こわいよ、ちょっと
1 いいじゃん、もう少しいれば
め いやだよ
2 自殺やめちゃったの?
レ うん、なに、自殺って
2 プロスーサイダーじゃないの?
レ なにそれ
2 まあ、いいけど
レ あのさ、私、受験もやめるかも
2 え、なんで?全然行けるでしょ、大学
レ うん…、あのね、あのさ
2 何
レ 子供できた!
2 え
レ うえーい!子供できちゃったよ!すごくない?
盲 ママ…
2 …
レ もう、育てるしかないよね、自分で、だから受験とかやめ、終了のお知らせ。
盲 ママ…
レ よしよしよしよし
盲 ママ…
レ 大丈夫、結婚しろとか言わないよ、大丈夫、一人で何とかするから
2 大丈夫って…
レ レミングちゃん様はこれから育児ママレミングちゃん様になるんだよ、やべー普通だ、よーしよしよし…
盲 ママ…
2 …ごめん。ちょっと聞いて
レ うん
2 産みたいなら、産んでも…ていうか、何か無理してるでしょ、いつもそうだけど
レ なにが
2 だから、なんていうか、や、もちろん産むっていう選択肢もあるけどー(指示があるまでのばす)
盲 ママ…
レ 他の選択肢ってなに
盲 ママ…
レ 他の選択肢ってなーに?
盲 お母さん
レ なあに
盲 お母さんは結局私を産むことができず、私ごと殺されたそうです(2、息を吸う)
レ そうなの?
盲 そうよ。
レ そうなんだ。
盲 それは↓それは無惨だったそうよ。
a ↑それは
レ 昔々あるところにおじいさんとおばあさんがおりました。
盲 おじいさんとおばあさんになる前はおじさんとおばさんでした。
レ その前は、おにいさんとおねえさんでした。
盲 おねえさんは、おばあさんどころか、おばさんにすらなれず、そうして、おねえさん

P37-P40

のまま死に↙〈ました〉、死んだそうです。
レ へえ、やだなー…
盲 イヤって言ってももう決まっていることだもの、しかたがないわ
レ わたしはどんな殺されかたしたの?
盲 それは↓それは、
a ↑それは
盲 無惨だったそうよ
魔 そうよ
盲 どんな風に
レ グロ画像が入ります。
音 グロ画像が入ります。死体の画像を映します。苦手な人は目を逸らしてください。気分が悪くなるようでしたら、絶対見ないでください。終わったら、また、お伝えします。
レ そっか、バラバラにされたんだ
盲 そうよ。首と手首を切られたわ。
レ なんだ、わたしってずいぶん凡庸な殺され方したんだね、残念。
盲 そうよ。すごく凡庸よ。
レ もっと特別な殺され方がよかったな。
盲 たとえば
レ たとえば…、頭くり抜かれて、中にウニ詰められたり
盲 そんなの普通じゃん
レ そっかな
盲 そうだよ。だったらくり抜いた頭に私を乗っける方が気が利いているわ。パイルダーオン。
レ 女子高生の発想じゃないけど、たしかに、それいいかも。そしたら、みんな私のことみてくれるかな。
盲 たぶんね。
レ でも、実際は
音 グロ画像終わりました。

映像「aの証言」

a 教室から見えました。西の空に広がる大きな雲が見えました。その雲は最初、縦に長く伸びて、それから上の方が横に広がりあっという間にこの街の上空を覆ったそうです。わたしはあの日、5時間目の数学の授業で寝てしまって、かみなりの音が聞こえて風の音と何かががたがた揺れてる音と窓のがたがたがあって、しばらくしていきなり、雨が、雨のばららら、らら、↓ばらら、ざああぁぁ、っていうか、もう、ごおぉぉぉぉぉ…って音になって、それが、なんか、すごく遠い世界で起こってることのような気がして、なんか自分だけ世界から取り残されている、ような、気がして、それで…、もっかい寝ました。
レ ↑ラララララララララ▶①
雨 なんの音かしら
a 振り向いた雨子、の、後ろは、雨、豪雨でした。
雨 なにこれ
a 雨子、の、前には、雨、が降っていません。
雨 え、ちょ、え、なにこれ、雨、が追って来るんだけど
3 違います。その時、ちょうど中目黒にいて
b うん
3 そしたら、目黒川(?)、あるじゃん
b うん。
3 あっという間に水かさが増えて
b うん
3 で、やばいと思って
b うん
3 すぐ逃げて、代官山の方に
a 川が溢れました
3 でも、どんどん、くんの、水が、で、やばくて…、やばかった。
雨 え、なに、これ
魔 えらいことになってるね
雨 なにこれ
魔 知らないよ、嘘、知ってるよ
雨 なに
魔 身体から蒸発した水分が雨になったんだよ。
雨 なにそれ
め なんでこんなことになっちゃったんだろ
魔 薬飲まないから
a 人々の悲鳴が聞こえます。
c △きゃー▶①
d △わあ▶①
魔 あっという間に川が溢れ
a 土砂が流れ
e 足もとが崩れて
雨 わあ
ガ そう、それで、足を取られて身動きがとれなくなった雨子をね、私が助けるの。大丈夫ですか?
雨 あ、ありがとうございます。
ガ ありがとうって言われて、わたし、本当に、初めてこのわたしの身体が役に立って、うれしくて
3 そっか
ガ うん、ほんとにうれしかったんだ…
3 そっか、それで、その時雨子はどんな様子でしたか?
ガ どこへ行くのかわかりませんが、私に乗りませんか
3 や、大丈夫です
ガ でもわたし、ほら、見てください、こんな雨楽勝なんで
3 や、ほんと大丈夫なんで
ガ や、でも!
3 ↑もう大丈夫だから、ね。◀①
ガ …うん
3 そういえばね、おれも、夢みたよ、足が生えるっていうか、ある夢
ガ うん
3 でも、それが、ちょっと恐い夢で
ガ うん
3 聞いてくれる?
め 昔々あるところにおじいさんとおばあさんがおりました。おじいさんとおばあさんになる前はおじさんとおばさんでした。その前は、おにいさんとおねえさんで、そのおねえさんは大変美しい足を持っていました。ので、その足を切り取られてしまいました。そうして、私は、おばあさんどころか、おばさんにもなれず、そうして、私は、死に↙〈ました〉死んだそうです。
3 で、その足を持って帰って来てくっつけんの
ガ なにそれ、こわい。
3 でもね
ガ そう、でもね、やっぱり、そんなことがうまくいくはずもなく、その足はわたしの言うことなんか全然聞いてくれなくて、勝手に走りました走りました走りました…(息が続くまでつづける)
3 そっちは海だよ
ガ (息を大きく吸って)そうなの。そうして、わたしは…。海に沈んで、私は死に↙〈ました〉死んだそうです。
a 4人目の家出少女は?
魔 ただいまって言って普通に帰って来て、そのあと普通に高校卒業して、大学行って、卒業して、就職して、それで、涙が止まらなくなって
雨 わたしは、走りました。走りました。無駄な肉がそげ落ちました。今までダイエット成功したことなかったけど、やればできるもんだなって思って、走りました。走りながらいろいろなことを思ったり、思い出したりしながら走りました。遠くを見たり、地面を見たりしながら走りました。地面っていうけど、いろいろあって、土地によってほんとに全然違くて、硬かったり柔らかかったり、匂いも違くて、ちょっと湿ったアスファルトの匂いを嗅ぎながら私は思い出していました。それは、教室から見えました。
魔 教室から見えました。西の空に広がる大きな雲が見えました。その雲は最初、縦に長く伸びて、それから横に広がりあっという間にこの街の上空を覆ったそうです。
3 その雲は▶②
魔 ↑わたしはあの日、5時間目の物理の授業で寝てしまって、かみなりの音が聞こえて風の音と何かががたがた揺れてる音と窓のがたがたがあって、しばらくしていきなり、雨が、雨のばららら、らら、↓ばらら、ざああぁぁ、っていうか、もう、ごおぉぉぉぉぉ…って音になって、それが、なんか、すごく遠い世界で起こってることのような気がして、なんか自分だけ世界から取り残されている、ような、気がして…、それで、もっかい寝ました。
め ↑ラララララララララ▶①
魔 走るのやめちゃったの?
雨 …
a そして、その日から雨は降り続けています。
b 世界中で?
a 世界中で
魔 雨子は、その日以降、雨子を見た人はいませんでした。
b というか、世界中で、大雨が降り、
a 降りつづき、それどころではありませんでした。
b 世界は滅んだのですか?
a 滅んだと言われています。
b でも世界中で雨が降り続けることなんてあるんですか?
魔 ありまーす!
b どのくらいふったの?
魔 ものすごい。世界は、低気圧だけになったのでした。
b そんなことありえなくない?
a えー、天変地異じゃん
b 難しい言葉知ってんね
a 難しくないよ
b 難しいよ
a むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがおりました。おじいさんとおばあさんになる前は…
b ↑そして、3日前、3日前、ここに、一人の少女がおりました。
a 少女の名前は雨、子でした。
b 雨って、あの雨?空から降る。
a そう、でもね、少女と言ってもその頃の雨子は、20代半ばだったので、少女と呼ぶには無理があったそうです。
魔 そうですね。
b それで雨子はどうなったの?
ガ 雨子は、身体の水分がほとんど蒸発してしまって、しわしわのおばあちゃんのようにというか、完全に干涸びてミイラになっていました。◀①
魔 (手に干物を持って)これです。(a ma zonの箱に入れる)
b で、結局4人目の少女はどこへ行ったのですか?
a 売られて行ったそうよ。
魔 そうよ。
b どこへ
2 まだ、その頃は人身売買のようなことが当たり前のようにあったんだって
b 彼女たちの身体は、食べると不老長寿の力を得られると信じられていたそうよ。
魔 そうよ。一生一緒に…(鼻唄を歌う)

 魔女食事の支度をはじめる。盲目の少女、干物の足をくわえてレミングのスカートの中に戻る。

a うん
b 物知りだね
a いっぱい勉強したからね
b なんで勉強やめちゃったの?
a うーん…、なんでだろうね。
b なんかあった?
a 別に。雨が止まないから(?)
b 関係なくない?
a うん
3 ◀②その雲は、やがて、私の、町の上空にまで到達しました。世界中に大雨をもたらした雲、です。しかし、私の町に到達する頃には勢力はずいぶん弱まっていたようで、その雲は、私の町に、たった一粒の雨を降らせ、その一粒の雨は私の額にあたり、はねました、はねました。額に当たった雨粒が、それが雨だと気づくより先にその正体に私は気づいていました。ハロー
雨 ハロー
3 そこはどこですか?
雨 ここは…
3 何が見えますか?

P41-P44

雨 犬がいて、
3 どんな?
雨 とても痩せた犬がいて、その犬が私の左足、膝から下をくわえて持って行ってしまいました。犬はすごいスピードで走ります。私は自分の足ではそんなに速く走った事無かったから新鮮で、自分では難しくても人に任せたら簡単にうまくいくことってあるよなやっぱりって思っていました。要領が悪いんだなって、そんなこと今気づいてもどうしようもないけど。でも犬の行動範囲は私が思っているよりずっと狭くて、あの〈この?〉犬はどうせこの町から出られないんだろうし、それだったら渡り鳥とか、私の足をもっと小さくバラバラにして、それで、渡り鳥とかに、もっと遠くまで運んでほしい。
3 うん
雨 うん、そう、それだったらクジラ、クジラがいい。クジラだったら何万キロという距離を移動するというし、クジラだったら、私をまるごと飲み込んでしまえるし、私の身体をバラバラにする手間も省ける。クジラは海しか移動できないけど、陸より海の方が面積が広いしずっといいな、と思っていました。でも現実では犬が私の足をくわえていて、この犬が海まで行く事はないだろうと思います。そもそも海はどっちだろうか、この町に無いにしても、この国に海はあるんだろうか。ここどこですか?
魔 地球を、私が、地球だとすると、この辺です。
雨 ここは?
魔 ここは…ウズベキスタン
雨 ここ
魔 トリスタン
a トリスタン
b トリスタンなんて国なくない?
魔 あ、るよ。ね
a あほだ
3 あー、無いかな
b ほらっ
雨 あなたは、この国の人?
3 あー、違うけど
雨 旅行ですか?
3 うん…って、そんな楽しいものじゃないけど。
雨 そう
3 女の子を探してるんだけど、見てないです…よね
雨 あー、どんな
3 足がキャタピラで、ここが赤色で、ここが青なんだけど…
2 ↑おい!
雨 …
2 足無くなってんじゃん!
雨 …
2 足無くなってんじゃん
雨 …
2 聞いてる?困るんだけど
雨 …
2 まじかー
雨 …
2 全部揃ってないと、買いたたかれるんだよね
雨 どういうことですか…
2 ↑なんだ聞こえてんじゃん、これどうしたの?
雨 あ
2 これどうしたの?
雨 あ、犬が、持って行きました。
2 犬!
雨 …
2 …ま、いいか。気をつけてね、これ以上減ったら困るから
雨 ここどこですか?
2 カシュガル
雨 …どこですか?
2 …(携帯を見ている)
魔 ウズベクです。
雨 わたし、どうなるんですか?
魔 これから、まずはカイロを目指します。
雨 カイロ。エジプトですか?
2 そう、いくつかルートあるけど、どうする?
雨 あ、ちょっと、わからないんで
2 ↑おまかせで
雨 おまかせで…はい。あの…わたし、死んだんですか?
2 うん、え、自分でわかんないの?
雨 …実感は無いです。
2 そっか、まあ、おれも死んだこと無いから、そんなもんかもね
雨 わたし、どうなるんですか?
2 …うん、まあ、簡単に言うと、あなたを欲しがっている人がいるので、その人に売ります。
雨 だれがわたしを買うんですか?
2 言ってもわかんないと思うけど、
雨 はい
2 アフリカの、ある部族で
a 女性のミイラを食べると、病気が治り、長寿の効果があると言われているそうです。
2 アフリカには、呪術で病気を治したりするひとがいてね。昔から人間の干物っていうのは珍重されてきたんだよね。
雨 人を食べるんですか?
2 うん、まあ、別に珍しいことじゃないから、それは
雨 …、わたし食べても病気なんか治りませんよ。
2 うーん、どうだろうね
雨 そんな話信じられません。
2 あんたが信じようが信じまいが、別にどっちでもよくて。実際に信じる人がいて、そういう人がいっぱいお金を出してくれんの。わかる?それよくない?
雨 よくはないです。
2 ああ、そう?つーか死体のくせにあんましゃべんじゃねえよ、めんどくせえな。
雨 死体だってしゃべりますよ。

 間。

雨 …日本、無くなっちゃったんですか。
魔 うーん、まあ、全部じゃないけど、関東平野から東海地方にかけては、ほぼ。

 間。雨子、男3並んで場内を時計回りにゆっくりと一歩ずつ歩く。

雨 わたし、帰りたいです、家に
魔 だから、もう家なんてないんだって
雨 無くてもいいです。あったところで、死にたい、家の
2 もう、死んでるんだし、いいでしょ。ここで、犬とか鳥に食われるか、タンザニアまで行って偉い人に食べられるか、もうどっちかしかないんだって。それだったら、ここで犬とか鳥とかしょうもないもんのエサになるより、アフリカ行って、偉い人の寿命延ばして、オレがお金もらえる方がよっぽど人のためになるんだから、尊厳ある死っていうの(?)その方が断然いいでしょ、誰が考えても
雨 …どっちでも一緒ですよ。
2 どっちでもいいんだったら、だまってろ馬鹿
雨 今どこですか?
3 エチオピア、あと数日で着くよ。
雨 今どこですか?
3 まだエチオピア、町の名前はわかんないけど
雨 今どこですか?
3 タンザニアの国境を越えたよ。
雨 今どこですか?
3 もうすぐ着くよ。
雨 今どこですか?

 王、コーヒーカウンターの椅子に着く。男2アマゾンの箱に入った干物をテーブル席に持って行く。

3 着いたよ。

 雨子、男3止まる。

2 お届けものです。
魔 ありがとうございます。
2 こちらに、印鑑か、サインお願いします。
魔 じゃあ、サインで
2 ありがとうございました。
魔 来たよー。

 魔女、食事の準備をする。

魔 (王様が食べようとするのを遮って)いただきますは?
王 干からびガム《いただきます》(干物を食べる)
ガ 王様が最初の一口を口に入れたその時、完全に干涸びたはずの雨子の目から一滴の涙がこぼれました。

 間

雨 涙が落ちた先から一輪の真っ白な花が咲きました。その花こそ、あの幻の花モーメントです。一瞬しか花を咲かせないことで有名なこの花から抽出された成分アルドモメノイドは活性酸素を、とそこまで読んで、わたしは飽きてしまった。地下鉄の広告は金融会社と脱毛エステが交互に並んでいる。その日わたしは、仕事が休みにも関わらず昼前10時頃、家を出た。姉に子供が生まれたのは先月の初めのこと。あれこれと言い訳を並べて、かれこれ2ヶ月近く甥との面会を延ばしてきた。甥に会うのが怖かった。甥は目が見えないそうだ。ということを母から聞かされ、わたしは、「そう」としか言えなかった。実際に会ってどんな顏をすればいいのか、姉と姉の旦那とどんな表情で話をすればいいのかわからない。わからないまま今日が来て、ほぼ毎日通勤で使っている黄色の銀座線に乗って、職場がある赤坂見附の駅を過ぎ、溜池山王まで行って緑色の南北線、ヘルシンキ方面に乗り換えブルックリンまで行くつもりが、何を間違ったのか台北で降りてしまった。ずいぶん手前で降りてしまったと、自分の注意力の無さに辟易したが、実のところこれもきっと甥に会うことを回避しようとしている深層の表れで、そうであるなら、このまま姉との約束をボイコットして屋台で昼間からビールでも煽ろうかとも思ったが、その一歩を踏み出すことのできないわたしは、結局次に来た同じ緑の電車に乗り直した。車内は先ほどと変わらず空いていて、上品な銀縁眼鏡をかけたお婆さんの横を選んで腰を降ろすとそのお婆さんから…
2 どうしました?
雨 何の匂いだろ、何か、何だろー、なんかとても懐かしい匂いがして
2 どんな匂いでした?

P45-P46

雨 涙が落ちた先から一輪の真っ白な花が咲きました。その花こそ、あの幻の花モーメントです。一瞬しか花を咲かせないことで有名なこの花から抽出された成分アルドモメノイドは活性酸素を、とそこまで読んで、わたしは飽きてしまった。地下鉄の広告は金融会社と脱毛エステが交互に並んでいる。その日わたしは、仕事が休みにも関わらず昼前10時頃、家を出た。姉に子供が生まれたのは     先 月の 初めの
こと   。 あ
 れ  
             これと 言い    訳を並べて、    かれこれ2  ヶ月
 近く甥との面会を
       延ば してき  た
                          。

                      甥 に会 う
の が


                  怖かっ

                                   た。甥

   は目が見え

ないそ う
          だ。という ことを


母から聞かされ

                   、わたしは、「そ          う


                                      」
   と

     しか言えなかった。実際に会ってどんな顏をすればいいのか、姉と姉の旦那とどんな表情で話をすればいいのかわからない。わからないまま今日が来て、ほぼ毎日通勤で使っている黄色の銀座線に乗っ  て、職場が
    ある赤坂見附   の駅を過ぎ、溜池山 王 ま で行 って緑色の南北線、ヘルシン   キ方         面に乗り換   えブルックリンま で行  くつもり  が、何を間違ったのか台北で降り  てしまった。ずいぶん手前で降りてしまったと、自分の注意力の無さに辟易  したが、実の
    ところこれも
      きっと甥に会うことを   回

避しようとしている   深層の  



      表れで、そうであるなら、この 
   まま姉との約束をボイコットし  て屋台で昼間から

ビールでも煽ろうかとも思ったが、
        その一歩を踏み出すことのできない わた しは、結局 次に来 た同じ緑の電車に乗り直した。車内は先ほどと変わらず空いていて、上品な銀縁眼鏡をかけたお婆さんの横を選んで腰を降 ろすとそのお婆さんから…
2 どうしました?
雨 何の匂いだろ、何か、何だろー、なんかとても懐かしい匂いがして
2 どんな匂いでした?
め ね、すごくいい香りがするでしょう。こんなにいい商品を使わないなんて絶対損してるから。だから、他の人にも薦めてほしいの。そうしたら、雨子ちゃんにも副収入が入るし、ほら見て
雨 ああ…うん
め この花こそ、あの幻の花モーメントです。一瞬しか花を咲かせないことで有名なこの花から抽出された成  分アルドモメノイドは活性  酸素をーーー(食卓に花を飾る)
雨 (発話しようとするができない。子音のみで発話する。)<と、そこまで読んで、わたしは飽きてしまった。↓あと6駅で着く。景色が変わ らないから地下鉄が嫌いという人は多いけれど、わたしはその逆で、景色なんて何も見えない方がいいと思う。外を走る電車はずっと   景色を眺めていると、自分が動いている実 感が薄くなって、町が次々に迫ってくるように思えて怖い。近景は速く、遠景はゆっくりと動く。わたしはその駒の中心にいて逃げられない、そんな思   春期を迎えたばかりのネクラな文学系JKが思う様な  ことをこの歳になっても考えてしまっていることがなにより恐ろしいと思う。身動きがとれない。なんてとりとめのないことを考えているうちに、目的のブルックリンに到着していて、わたしは  慌ててホームに降りた。休日のブルックリンは思ったより静かで、東から吹く風はわずかに潮の  香りがした。>

 間。

<雨 以上です。ありがとうございました。>(頭を下げたまま止まる)
b ↑結局あの子は帰って来たの
a 来たの、普通に、1ヶ月後
魔 ただいまって
b なに、どこ行ってたの
魔 どこにも行ってないよ
b 家にもいなかったじゃん。
魔 そうだっけ
a まあ、無事でよかった。
b うん
魔 なんかまた雨降りそうだね
a 傘持って来た?
b 来てない。早退しよっかな
王 桃井って佐野?《どこ行ってたの?》
魔 ささみタレ、気配も隣もHIDE北野チェス《私はね、世界の終わりを見てきたのです》
王 タイガー、百歩ニーチェwwコンガ番地ザッパwwww《まじかー、かっこいいねwwどんなかんじだったwwww》
魔 番地?番地目中途本場番地浜。《感じ?感じで言うとこんな感じかな。》
王 針、針事件簿《なに、なにしてんの》
魔 隣《終わり》
王 ya h、寧々暮れ、番地w《あー、出てるね、感じw》
魔 ささみ、さほ味《わたし、魔女だし》
王 タイガー《まじかー》
魔 群《うん》
王 さほっget down借りパク長サンボ?《魔女ってなんか資格とかあんの?》
魔 飛んだドライ《そんなのない》
王 超買ってバッハも?《どうやってなったの?》
魔 ラッセラに着いたら《なってた気づいたら》
王 キス多田さほ見舞ったよ《いつから魔女になったの?》
魔 boooot八重《ずーと前》
王 キス?《いつ?》
魔 うなじうなじ、棒棒面とクワイ《昔々、何万年もむかし》
王 伝え蛸キス?ピュー太姉妹九九《うまれたのいつ?つーか今いくつ》
魔 newカマー《17》
王 超you底?《どういうこと?》
魔 for you底《そういうこと。》
王 超だっけさほ見舞ったよ?《どうやって魔女になったの?》
魔 嫁が鯖鉄もtoma pa i yes、oh、水論ぶたネタ《それはまた別のおはなしです、もう、質問疲れた。》
王 fa ll in《ごめん》
魔 ささみが、ガロもコソボ比内もコソボ玄武切手ギルモア《わたしは、過去のことも未来のことも全部知っているのじゃ。》
王 ya h、家来が志津語呂見るの?《じゃあ、世界はいつ滅びるの?》
魔 えーとね、明日(?)

 おしまい

 

2014年4月「; moment」完本

今回の上演に限り、役を下記の通り割り当てる。
月=ウ(ウルヒト)
火=雨(雨子)
金=男
土=女
日、木=音響スタッフ
ノーシ、元カノ=音声による

 出演者5人自分の似顔絵が描かれたお面を付けて座っている。
 音響スタッフのみ後ろ向きにお面を付けている。お面の顔は客席の方を向いている。
日 はじめます。

音響スタッフ以外の4人お面を外し会場の奥に捨てる。
月曜日が一定のリズムで手を叩き、それにつづき火、金も手を叩く。3人の拍子は調和している。土曜日はそれを見ている。

月 え、じゃあ、だれが話はじめる
金 あ、じゃあ
火 だれにする
月 話、はじめる?
木 はなしはじめる
月 なんかおもしろいことあった?最近
金 あー、あ、うん
月 え、なに
金 あー、あんまり面白い話じゃないんだけど
月 じゃあいいよ
金 あー、まあ
月 え、だって面白くないんでしょ
金 まあうん
月 え、なに、話したいの?
金 別に
土 (3人のリズムを無視して)↑モーメント!
火 え、なに
土 って言ったら、みんな止まります。
月 え、なに急に
土 止まってください。で、動いた人が退場っていう
金 え
土 ↑モーメント!a え(動く)、あ…

動いたa退場

月 だるまさんがころんだ<的な(?)>…
土 ↑モーメント!

全員止まる。music(moment)。4人定位置に移動。木金の足を紐でつなぐ。

土 …昔々、大雨が降り↙ありました。
月 え、な
土 昔々、大雨がありました。
火 どこで降ったのですか?
金 世界中です。
火 世界、中ですか?
土 そうです、世界中で大雨が降りました。
月 どのくらい降ったのですか?
金 どのくらいと言うと、量ですか?
火 ↑期間ですか?
ウ いつからですか?
雨 3日前です。
ウ 3日間
雨 あ、3日前なので、2日半くらいですかね
ウ 2.5日ですね。きっかけとか
雨 あー…、中吊り広告、美容薬品の広告をながめていました、数年に一度、
木 一瞬しか花を咲かせないことで有名なこの花から抽出された成分アルドモメノイドは活性酸素を、
雨 とそこまで読んで、わたしは飽きてしまった。地下鉄の広告は金融会社と脱毛エステが交互に並んでいる。休日の銀座線は空いていて、わたしは上品そうなおばあさんのとなりに座った。おばさあんからは、何か、何だろ、なんかとても懐かしい匂いがして、
ウ どんな匂いでした?
雨 たぶん…、ああ、わかんないですね。何の匂いだろ。うーん、匂いって人に伝えるのむずかしいですね。
ウ それで
雨 そう、それで、そしたら涙が出てしまって、そうですね、泣いたっていうより、涙が出たっていう感じなんですよね 
ウ なるほど
雨 そしたら、止まらなくなってしまって、悲しいわけでも悔しいわけでもないんですよ、わたし
ウ うーん…。3日間、2.5日の間ずっとですか?出てます?
雨 はい、あーでも、動いてると少し止まる様な気がします。
ウ 寝ている間も?
雨 はい。なかなか寝付けなくて。で、何とか寝るんですけど、起きたら、というか、途中で目が覚めちゃって、そしたら枕がびしょびしょになってるんですよ。水こぼしたみたいに。
ウ はあ
雨 で、無いとは思うんですけど、このまま寝てたらわたし溺れちゃうんじゃないかって思って、心配になっちゃって
全 ははは
雨 …
雨 中学生に上がったくらいには治ったんですけどね
ウ あー、でも大人になってから再発する人も結構多いですよ
雨 はあ
ウ はい、じゃあ、わかりました。とりあえずお薬出しておくんで、それで様子みましょう。
雨 はい
ウ 3日分出しておきますから。それで様子見て、4日後、○○日に予約入れておきますので、また来てください。
雨 はあ
ウ あ、眠くなるんですよ。この薬なので、運転します?
雨 あ、いえ
ウ じゃあ、大丈夫だと思うんですけど、あと、やっぱり、止めるっていっても、涙だけというのは難しいので、汗とか、他の分泌、身体から出る水分みたいなものも、止めてしまうので、あんまり運動とかはしないようにしてくださいね、体温上がっちゃいますから、あ、あとお水いっぱい飲んでくださいね。
雨 あー、わか、りました。
ウ では、お大事に。
雨 はい。失礼します。
土 これが3日前
金 だから、何から3日前?
土 雨が降る、日
木 雨

 雨音

男 あのさ
女 …
男 寝てる?
女 うん

 間

男 あのさ
女 うん?
男 いい話と悪い話がある
女 (笑って)なにそれ、映画?
男 どっちから聞きたい?
女 聞きたくない
男 聞きたい?
女 悪い話は聞きたくない
男 じゃあいい話ね
女 うーん
男 おれが本気で好きになっちゃったらどうする?
女 …えー
男 なんか、結構タイプかも、とか、思ってんだけど
女 えー、っていうか、それがいい話?
男 え…うん
女 悪い話じゃなくて?
男 うん…え、ひどくない?
女 ごめん
男 …
女 ごめんって、もー、すねないの
男 別に
女 じゃあ、私も
男 うん
女 悪い話と悪い話があるんだけど
男 どっちも?
女 うん、どっちから聞きたい?
男 え
女 悪い話a 、悪い話B
男 え、えらばなきゃだめ?
女 だめ
男 じゃあ、C
女 つまんない
男 a
女 ロリコン
男 え
女 ロリコン
男 え、なに
女 …私高校生だよ、JK
男 は、え、うそ
女 嘘じゃないし
男 え、だって、さっき
女 え、ていうか、知ってたでしょ
男 や、や、知らない
女 うそだ、ふつー家出なんかしないでしょ、家出すんのは、JKかJC、気づけし
男 あー、や、でも
女 あせってる、うける
男 えー
女 ロリコンロリコンロリコンロリコンロリコン…
男 いたいいたいって

 間

男 雨、まだ降ってる?
土 昔々大雨がありました。
火 大雨が降りました。
金 どこに降りましたか?
火 それは世界中に降りました。
月 降ったそうです。
金 世界中ですか?
月 はい。そうです。
木 世界中っていうと、世界中ですか?
月 ↑はい、世界中です。
木 その雨は、どこで降りましたか?
月 だから、世界中です。
金 どのくらい降りましたか
月 あー、え、量?
土 あーね
火 あー、え、どのくらいでしょうか。どのくらい?
土 ?
金 じゃあ、ペットボトル何本分ですか?
木 いや、よけいわかりずらいでしょ
金 (ペットボトルを拾って)これ
月 や、わかないけど、ずーと降ったらしいです。一ヶ月、とか、一年とか
土 年!?
火 うん、そうらしいよ
土 えー、ありえないでしょ、え、年!?でしょ
火 うん、だから、そうだって
土 年?
火 雨やまないね
土 あーね
金 あれ、なんか一人足りなくない?
土 あーね
金 え、誰がいない?
月 あー、え、全員いるんじゃん?
金 月火…、や、6人しかいなくない?
火 あれ
金 探しに行く?
月 帰ってくるでしょ。だまってても
土 そうかなあ
雨 そう、それで、仕事になんないから、
母 うん
雨 うん、そう、あ、でも有給いっぱいあったからちょうどいいかなって、仕事も一段落したところだし
母 神様が休めっていっているのよ
雨 えー、だったら、もう少しましな方法で休ませてほしいんだけど
母 ははは
雨 あー、だめだ、止まってると、すごい
母 薬飲めば?
雨 うーん、あ、で思ったのが、動いてると出ないのね、涙
母 うん
雨 で、思ったんだけど、汗も涙も一緒なんじゃないかなって
母 えー、どうだろ
雨 んー、厳密には違うんだろうけど、ほら、同じ水分じゃん、だから、だから動いてると、出ないのかなって、涙
母 うん
雨 だから、私、走る…
土 そういって彼女は走りはじめたそうです。
金 しかし、実際に走り出したのは、その翌日でした。と言われています。

雨子、ランエコ運動をする。

母 走るって、簡単に言うけど
雨 簡単に、言ってる、つもりは。ないんだけど
母 普段運動してないんだから、歩く事から始めた方がいいんじゃない?
雨 でも、それじゃ、涙、止まんないし、たぶんだけど、それに、ずっと、走ろうと、思っていたから
母 身体壊さないようにね
木 昔々大雨がありま…
月 ↑それはもういいよ
火 これは、本当にあったお話です。
金 で、これが2日前、雨が降る
土 ふうん
火 そいえば、帰ってきた?
土 行方不明だよ
月 何か大事になっちゃったな
火 家出?
金 そういえば、また発見されたって
月 家出少女?
土 うん。
月 死体で?
土 うん
火 じゃあ、早く探しに行かないと、死んじゃうかも、殺されて
月 つーかいないのって誰?女?
金 女でしょ。
月 ちゃんと覚えてる人いる?
 
 間

月 じゃあ、みんなで、覚えてること、彼女(?)の、言ってく?
火 女だった気がする
土 わたしも
月 じゃあ、女ね
金 あとは、なんだろ
火 えー、背は普通っていうか、わたしと一緒くらいだったはず、比べた記憶ある
月 顔は?
木 顔は…

 間

月 あー、ね
女 何かおもしろい話して
男 えー、ちょっと待って…
女 はやくぅ
男 あ(携帯を取り出す)面白い動画あって、ちょっと待って
女 はやくはやくはやくはやくはやく(叩く)はやくはやくはやく(女、マッチを擦って男のすね毛を燃やす)
男 え、え、ちょっと何してんの?
女 すね毛ない方がセクシーだよ
男 え、や、え、あつっ!…
女 まだ?
男 ちょ、えー
女 まだ?
男 あ、はい、これ、痛い、待って、はい(携帯を見せる)。面白くない?www
女 ( ´_ゝ`)フーン
男 え、面白くない?
女 これどこの人?
男 えーどこだろアメリカ?
女 海外行ったことある?
男 あるよ
女 どこ
男 エジンバラ
女 ってどこの
男 どこ?イギリスの
女 ↑アフリカ?
男 や、イギリス
女 嘘だ、アフリカだよ絶対、エジンバラだよ
男 や、おれ行ったから
女 アフリカに?
男 あーうん、じゃあ、そうかも、アフリカだったかも
女 でしょ
男 そうそう
女 なんかお話して?
男 なんの?
女 エジンバラっていうか、アフリカ
男 アフリカ?
女 うん、おはなし
男 や、アフリカって、え、南アフリカ?
女 昔々、あるところに
男 え、なに、昔話?
女 (笑って)だめ?
男 うーん
女 はい、昔々、あるところに、
男 …ちょっとまって
女 おそい
男 そんなすぐでないよ
女 じゃあ私が話す。
男 うん
女 いい?
男 うん
女 昔々、あるところに
男 おじいさんが
女 もう話しない
男 ごめんって
女 …昔々、あるところに…、えーと、一つの国がありました。
男 うん
女 その国には大変立派な王様がおりました。
月 王様は国民から大変慕われておりました。
火 王様は英雄でした。
木 王様は戦争の時も先頭に立って、なんかカリスマでした。
金 王様はもてもてでした。
月 王様は…えーっと↓…眼鏡でした。
女 王様やって
男 あー、うん
女 はい
男 あー、王様です。
女 王様は、です。とか言わない
男 あ…、わしは王様じゃ。
女 王様はまだ、24、5歳でした。
男 わたしが王様である。(男→王)
木 王様、東の魔女が悪さをして、民が困っています。
王 悪さ、たとえば
火 子供たちがさらわれているそうです。あと、麻薬の密売とか、中東から武器や弾薬を受け取って紛争地帯にばらまいているそうです。
月 嘘だろ。
木 なんか子供をさらってなんかしているようです。いかがいたしましょう。
王 また、魔女の仕業か。ようし、わしが行ってみよう。
女 わたし
王 よし、わたしが行って成敗しよう。
女 王様は4人の兵隊を連れ魔女を退治しに行きました。
王 この国には4人の魔女が住んでいました。
女 東の魔女以外の3人の魔女はアホでした。
王 なんで
女 なんでも、はい、次
王 魔女の家に着きました。
女 はやい、はやくない?
王 うーん、ごめん、眠いかも
女 ↑その間に4人の兵士は王様の身代わりとなり、無惨に散っていきました。
王 まじか
女 そして、王様も重傷を負いました。
王 なんで?どういう状態?
女 なんかイバラで、あ、魔女の住む森はイバラの森だったのでした。
王 あー、あれ、これアフリカだっけ、森とか無くない?
女 アフリカ馬鹿にすんな、あるし、森くらい
王 あー、そう
女 はやく
王 なに?
女 王様
王 あー、ぐぅ…
女 …
王 満身創痍じゃ
女 …
王 ぐぅ…
火 聞いた?つーか見た?
月 ↑聞いた
土 ↑うん、聞いた
火 聞いてよ
土 うん
火 見つかったって
土 なにが
火 女の子、3人目
月 あー、へえ
火 死体で
月 あー、でも、そうだろうね
火 結構ひどいらしいよ。テレビでは遺体の一部としか言ってないけど
月 あー
火 ね、上半身だけだって
土 えー
木 下半身だけまだ持ってたりするのかな、犯人
土 ないわー
木 足フェチとか
月 穴フェチ?
木 それはひどい
月 vigina フェチ
木 vigina 言うな
土 変態じゃん、こえーよ
月 でも被害者、全員ビッチでしょ。天誅じゃね
木 出会い系少女連続殺害事件ですからね、ざまあ
月 中古少女全滅していい
土 もう一人はまだ?
火 まだ、だけど
月 もう死んでんじゃん、殺されて

 雨子走りに外に出る。(コンビニでガリガリ君を買いに行く。)

魔 起きた?
王 うん

 間

王 何時?
魔 何?
王 今、時間
魔 あー、今日は月が無いからわかんないよ
王 …そっか

 間

魔 お腹空いてる、よね?
王 うーん
魔 (料理を出して)はい
王 あー、ありがと。え、ていうか、作ったの?
魔 そうだけど
王 なんもなかったでしょ
魔 …なに?寝ぼけてんの?
王 …や、ああ、うん
魔 話のつづきは?
王 なに?
魔 つづき、王様
王 あー
魔 うん
王 えー、っていうか寝た?
魔 ううん
王 眠くない?寝ないの?
魔 眠くない。寝ない。私、魔女だし
王 まじか
魔 早く、つづき
王 えー、横になったら眠くなるかも
魔 ならない
王 試しに、ほら
魔 は?
王 ほら、寝ようよ
魔 食べないの?
王 あー
魔 お腹空いてるって言ったじゃん
王 ああ、うん
魔 食べないならいいよ
王 うそ、食べる食べる。(食べて)うま
魔 ほんと?おいしい?
王 うまいよ
魔 よかった
王 あ、でも、冷蔵庫なんもなかったでしょ、買いにいった?
魔 うーん、うん
王 肉うまいね。久しぶりに食べた。牛?
魔 ふっふっふ
王 なに?
魔 それは子供の肉じゃ
王 マルエツで買ってきた?
魔 そうじゃ、マルエツプチで買った子供の肉じゃ。100グラム198円じゃ
王 まじか、子供うまいね、子牛?
魔 子牛の肉、そんなに安く買えないし
王 そっか
魔 ケガの具合はどうかね?
王 あー…
魔 どうかね?
王 あ、うん、まあ
魔 何、まあって
王 あー…、うむ、まだ少し痛むが、大丈夫じゃ
魔 それはよかった。ほら、もっと食べるがいい
王 うむ。でも、いいのか?
魔 何が?
王 そなたの分が無くなってしまうんじゃないか、わたしはいっぱい食べるからな
魔 ははは、大丈夫じゃ、わたしはどうせひとりだし
王 …そうか

 間

王 なんで、助けた?
魔 えー、べつに…
王 なに?
魔 まあ、ケガしてたら助けるじゃん、ふつう。
王 そうか
魔 それに、わたし、学校女子校だし。
王 うん
魔 だから、出会いとかないから、みたいな
王 そっか
魔 うーん、寂しいじゃん、一人だと、寂しくない?
王 まあ
魔 あー、でもごめんね。一緒に来た人達は、さすがに無理だった。
王 そうか…
魔 死んでたし
王 …

 間

魔 なんかごめんね。私のせいだよね
王 や
魔 彼女いないの?
王 …うむ
魔 へへ、じゃあ、一緒だ。

 魔女布団に入り込む。

魔 やっぱちょっと眠いかも。寝ようかな。
王 うん
木 魔女はすやすやと無防備な顔で眠ってしまいました。
月 やべーキスしたい、していい
木 キース!キース!…
魔 アフリカの人ってなんで色黒いの?暑いから?
王 あー
魔 じゃあ、日焼けしてんの?生まれたときは白い?
王 や、生まれたときから黒いでしょ
魔 なんで
王 なんでって、あー、でも、人間、最初の
魔 うん
王 人類が誕生したのはアフリカって言われているから
魔 そうなの?
王 タンザニア?たしか
魔 へえ
王 だから、もともと、黒いのが普通で、まあ、ふつーっていうか、まあ、普通で、だから、そのあと白くなったり、黄色くなったりっていうのが正しい。気がする。
魔 じゃあ、黒い方がエラい
王 別にエラくはないでしょ
魔 ふーん

 間

王 家出…
魔 …なに?
王 家出…何でしたの?
魔 …
王 別に言いたくなければいいけど
魔 …忘れた
王 そっか

 間

魔 しばらくいていい?
王 うん、いいよ
魔 やさしいね
王 やさしいよ
魔 へへ

 王様、魔女にキスをしようとする。

魔 ちょ…
王 なんで
魔 や、だって、えー…
王 いや?
魔 いや、っていうか、会ったばっかじゃん
王 関係なくない?
魔 んー
王 好きだよ
魔 会ったばっかなのに?
王 嫌い?
魔 んー、ていうか私魔女だよ
王 もういいから
魔 なんか怖い
王 怖くないよ
魔 んー…(泣く)
王 え、あ、ごめんごめん
魔 うー…
王 ごめん、怖かった?
魔 (うなずく)ちょっと…

 魔女しばらく泣く。

魔 わたしね…
王 うん
魔 はじめて、したのが
王 うん?
魔 聞いてくれる?
王 うん
魔 わたし、はじめてしたのが、10歳で
王 え、相手は?
魔 友達のお父さん
王 おー…
魔 で、それは、別に嫌じゃなかったんだけど、でも、バレて、したことが、友達が見てたんだよね、あ、そのお父さんの子供じゃない、別の子ね
王 うん
魔 学校で噂されて、先生にもバレて、親にもバレて、向こうの家族も離婚したりで、めちゃくちゃになって
王 …
魔 中学生になっても、すぐ噂広がって、先輩とか、呼び出されて、やらせろって強要されたり。わたし、別にビッチじゃないのに
王 うん
魔 でも、本当、そんなことは本当にどうでもよくて、本当に悲しいのはね…
王 …うん
魔 お母さんも、お父さんも、みんなと同じ目でわたしを見るんだよ(泣く)
王 …そっか
魔 わたしの居場所なんか、どこにもない、うー

 間。雨子帰って来る。

王 あのさ…
魔 うん(うなずく)
王 好きなだけ、いていいから、ここ
魔 ほんとに
王 うん
魔 信じていい?
王 うん
魔 裏切ったら絶対許さないからね
王 わかってるって
魔 呪うからね
王 こわ
魔 ひひひ
月 王様は魔女と寝てしまいました。
火 子供にそんな話して大丈夫?
木 大丈夫よ、どうせ寝ているのでした。
火 かわいそうに
月 どうしたら目を覚ますのかしら
木 お姫様のキッスで目を覚ますのです。
火 お姫様はどこにいますか?

 「お姫様はどこにいますか?」のグーグル検索結果を投影。

月 洞窟にいるって
木 ドラゴンはどこにいるの?
火 そもそも、そのお姫様でいいのでしょうか?
月 姫もいっぱいいるからね

 間

木 なんでこんなことになっちゃったんだろうね。よよよ
母 何、やめちゃったの?
雨 やったよ
母 どのくらい
雨 20分くらい
母 そう。
雨 うん
母 止まったの?
雨 何が?
母 何がって、涙だだだ
雨 あー、走ってる間はね
母 駄目じゃない
雨 だって、ずっと走り続けるなんて無理だし。無理じゃん。
母 うん
雨 明日、また走るから
母 薬飲みなさいよ、嫌いなのわかるけど
雨 はーい、別にアレルギーがあるわけではないんですけど。薬が嫌いで、子供の頃から。
母 ほら、飲まないとよくならないわよ
雨 わかってるよ!って、なんか。身体の形とか性質とか、よくわかんないけど変わりそうな気がするから怖くて昔から。や、でも、だって、涙以外にもいろいろ止まるって、そんなの怖すぎるじゃないですか。
木 そして、彼女はそのまま眠ってしまいました。
金 ふて寝です。

 雨子溺れて目を覚ます。

雨 ばびごべばごべべ
月 翌日、彼女は溺れて目を覚ましました。
木 で、無いとは思うんですけど、このまま寝てたらわたし溺れちゃうんじゃないかって思って
金 あったね
雨 ぶくぶくぶくぶく…
木 (雨子の台詞と同時に)そして窓を開けると町が沈んでいました。水に。
金 ↑涙に
月 薬飲まないから
雨 ぶくぶく!
土 △くすり!
月 窓を開けた拍子に薬はどこかに流れていきました。
雨 どうしよ
金 そうこうしているうちにも、彼女の目からは涙があふれてとまりません。
木 このままでは世界中が水浸しになってしまうわ
金 彼女はそう思い。まだ涙に沈んでいない場所を目指して泳ぎました。
土 数百メートル泳ぐと、あ、彼女の家は地形的に下…谷底
月 ↑彼女の家は四谷の谷の底にあったので、少し泳ぐとまだ沈んでいないところが、ところに着きました。町が涙に沈んだと言ったのはちょっと大げさでした。
金 ↑東京都新宿区若葉2丁目4-3
月 彼女にはちょっと大げさに言う癖がありました。
金 おーい!きみ!
雨 あー、どうもウエーン
土 そこにいたのは、あの医者でした。
ウ 大変な事になったね
雨 あーはい、みたいですね。グスン
ウ 原因はきみだよね。
雨 ああ、そうなんですかねグスン
ウ みんなに言ってやろ
雨 ウエーン
ウ 薬を飲まないからこんなことになるんだよ
雨 や、わたし飲みました…
ウ ↑飲んでない。嘘を言わない。
雨 …ウエーン
ウ で、薬は?
雨 あー、どこかに、流れて
ウ omg…うちも沈んじゃったから、代わりは無いよ、どうするの
雨 …

 間

ウ あー、まあ、完全に無いわけではないけど、ちょっと遠くにあるから
雨 薬飲んだら本当に止まるんですか?
ウ うん、だから、取ってくるまで何とかしてよ、走るとか
雨 はい
ウ オケー。じゃあ、ぼくが薬を取ってくるまで決して止まってはいけないよ、走りつづけるんだ。
雨 あの、どのくらいかかりそうですか?ウエーン
ウ わかんない。1日じゃ無理かな
雨 …そうですか?
ウ 大丈夫?
雨 …はいグスン
ウ じゃあがんばってね
木 彼女はそんなことできるはずないと思いました。
金 でもやらないと、すごく怒られそうなので、走ることにしました。
土 走りました。
金 走りました。
月 20分走りました。
土 疲れました。
金 止まりました。
木 涙が溢れました。
雨 また、町が、一つ、沈みました。
金 走りました。
雨 走り、ました
金 疲れて
雨 止ま、りました。
金 町が、また、一つ、沈みました。
土 彼女が止まる度に、町が一つ沈みます。
木 町の人の悲鳴が聞こえてきました。
雨 逃げる、ように、走り、ました。
月 彼女はもう走るしかありませんでした。

 雨子走る。

月 彼女は無我夢中で走りました。
金 意識が朦朧としてきたそのとき
月 気づくと、隣に並んで走っているランナーがいました。
雨 高橋、尚子、でした。わあ、Qちゃんだ、すごい、あの、すごい、見て、ました、金メダ、ル
木 Qちゃんは、声をかけてはくれませんでした
月 が、しかし、しばらく並んで走ったのち
雨 こっちを、見て、にっこり、笑う、と
月 Qちゃんは、彼女にあるものを手渡しました。
金 そして、もう一度にっこり微笑むと
月 Qちゃんは、彼女をおいて先に行ってしまいました。
雨 やっぱ、り、速い、なあ
木 Qちゃんは去ってしまいましたが、その笑顔は彼女に大きな勇気を与え、
月 そして、彼女の、その手に握られたそれは、ターザンでした、雑誌の
金 彼女の手に残されたターザンには、走ることについて彼女の知らないことがいっぱい書いてありました。
雨 目から、鱗が、おち、ました。
土 ターザンとの出会いは、今後の彼女の人生を大きく変えることとなるで…
金 ↑変えたのでした。
月 ターザンには、長い距離を走るためのあらゆる手段が書かれていました。
雨 私は、その、教えに、したがって、あらゆる、無駄を、無駄な、動きを、なくす事に…

 間

月 そうして、彼女のランニングフォームは、次第に、美しく、なっていったのでした。
金 山を越え、海を渡り、ミニマリズムを追求した完璧なフォルム
月 そのあまりの美しさに人々は驚き
金 なんて美しいんだ
土 美しい
月 彼女の姿は瞬く間に全世界に知れ渡りました。
王 魔女ってさ空飛んだりできんの?
魔 できないよ、そんなの
王 そっか…

 間

王 できないのか、そっか…
魔 うん…、え、なに、飛べなきゃだめ?
王 や、そういう…
魔 飛べない魔女嫌い?
王 そんなこと言ってないでしょ
魔 や、言った
王 言ってない
魔 言ってないけど、心の声が聞こえた、魔法で
王 そんなことできんの?
魔 うん
王 そっか
魔 うん、嘘ついてもすぐわかるからね
王 そっか

魔 …(王様をじーっと見つめる)なに
王 あれ、ほかに何ができるの?
魔 え、なに?
王 ほかに
魔 えー、なんでも(?)空飛ぶ以外ならなんでも。でも、基本は薬つくったりしてるがのう
王 何の?
魔 なんでも(?)
王 そっか
魔 あとはー…
王 何?
魔 さっきも魔法つかったよ、気づいた?
王 え、いつ
魔 へへ
王 あ、…えー
魔 どうじゃった?
火 魔女のテクニックはすごかったのでした
月 とてもとてもすごかったので
木 具体的には…
月 すごかったのでした
魔 だてに長生きしてないでしょ
王 あー、はい
魔 ねえ
王 はい
魔 そういえば…、何をしにきたのじゃ?
王 え
魔 わざわざこんなところまで。私に会いにきたのじゃろ
王 あー…、なんだっけ
魔 …(王様を見つめる)
王 あれ…
魔 大丈夫?
王 …
魔 まあ、ゆっくりしていっていいからの
木 王様の頭の中は霧がかかったようにぼんやりとしていました。
火 なにか大事な用事があったような
木 なにか大事な用事があったような
月 王様の頭の中は魔女のあのテクニックでいっぱいでした
王 んー
魔 なに?
王 んー
魔 もっかい?
王 んー
魔 なに?
王 んー
魔 もっかい?
王 んー
魔 なに?
王 んー
魔 もっかい?

 王様、魔女にアイマスクを渡す。魔女しぶしぶアイマスクを着ける。魔女→盲の少女

月 彼女は山でひとりの少女に出会いました。

 盲の少女、雨子ぶつかる

雨 あ、ごめんなさい、大丈夫ですか
月 少女は目が見えませんでした。
盲 いえ、いいのよ、大丈夫
雨 じゃあ
盲 ちょっと待って
雨 ごめんなさい、わたし止まっては行けないの
盲 ちょっと待ってって
雨 ごめんなさい
盲 あなたはどこからきたのかしらしら
雨 私は東京から来ました。
盲 東京?where?
雨 東京は日本の、あー、Ja Pa N、わかる?
盲 OH!Ja Pa N?それ知ってる。でもどこにあるかわたしは知らないのいの
月 どんなところ
雨 どんな、あー、ビル、とか、あ、ご飯がおいしいよ、米
盲 It's wonderfulful!私、今、英語しゃべっているのよ。うまいまい?
雨 あー、good!so nice!
盲 yea h!(ハイタッチ、笑う)で、どうしてあなたは走っているのるの
雨 うん、話せば長くなるんだけど
盲 じゃあ、結構。それより、わたしの話を聞いていて
雨 OK
盲 もうすぐ、子供が生まれるのるの
雨 おめでとう
盲 やだ、わたしの子供じゃなくってよてよ、うちで飼ってるアルパカのクォカーチョの子供よもよ
雨 そう
盲 クォカーチョはすごいのよのよ
雨 うん
盲 その毛の品質で最高の賞をもらったのだから
雨 へえ、すごいね
盲 その子供が生まれるの
雨 …そう
盲 クォカーチョの毛は本当に軽くて暖かくて、お日様みたいないい香りがするのるの、本当よ。
雨 お日様に匂いはないよ
盲 あなたお日様の匂いも知らないの?東京って町には、お日様がないのかしらしら、変なところねろね
雨 …

 間

盲 あら、機嫌を悪くしてしまったの、ごめんなさい。私のわるいくせねせね
雨 べつに
盲 それでね、そう、子供が生まれるの
雨 うん
盲 でも、クォカーチョは、もうおばあさんだから、子供を生んだらきっと死んでしまうわうわ
雨 そう
盲 クォカーチョはこの村で生まれて、どこにも行かずに、そして、死ぬのよのよ。そんなのって…
雨 …
盲 でもね。クォカーチョの毛を原料にした、セーターやマフラーはいろんな国で売られているのよ。それも、うんと高値でねでね。きっとあなたの生まれた町でも売られているわ
雨 うん、きっとね
盲 でも、わたし、わたしだって、遠い国へ行ってみたいわ
雨 うん
盲 あなた、これから、どこへ行くの?
雨 さあ、わたしにもわかんないよ
盲 いい事を思いついたわたわわ。私、糸を紡ぐわぐわ、最後のクォカーチョの毛を使ってって
雨 そう
盲 だから、海まで、その糸をつないでほしいの、わたしは、あなたが走るスピードに合わせて、糸を紡ぐから、そうすれば、わたしはこの指先から世界を感じる事ができるのですからから、えい!
雨 えー、まあ、いいか
盲 アディオス!知らない人!(盲の少女→魔女)
雨 アディオース
月 彼女はクォカーチョの毛糸を尾にひき流星のように走りました。
木 お日様の匂いは世界に広がり、世界はちょっとだけほっこりしました。
月 世界は毛糸で覆われました。
土 これが、地球温暖化の全容です。
金 や、嘘だろ
月 地球は巨大な毛糸玉になりました。
木 そこへ巨大猫星人が毛糸玉となった地球をころころしにきました。
土 かーわいーい
金 や、嘘だろ
木 猫にころころされたおかげで地球は太陽系の軌道をはずれ、銀河系を抜け、遠い旅路に出ました。
月 宇宙船地球号の誕生です。
土 ↑そう、嘘なのでしたが、世界中の人々によくわからない勇気と感動を与えた雨子、そう彼女の名前は雨子なのでした。
金 雨子は世界中の人々によくわからない勇気と感動を与え賞賛されましたが、それはほんの一瞬のことでした。
月 これが一日前のことです。
木 そうです。まもなく、雨が降ります。
月 世界を滅ぼす大雨です。

月 おーい
金 おーい
火 △おーい
月 おーい
金 △おーい
火 △おーい
月 呼んだ?
金 △呼んだ?
火 △呼んだ?
月 お前じゃないから
金 △お前じゃないから
火 △お前じゃないから
月 ごめん
金 ごめん
火 ごめん
木 どこいったんだろうね
月 誰が?
火 △誰が?
木 ひどい
土 ひどーい(>_<)
木 じゃあ、誰?
月 誰だっけ
土 あ、そういえば見つかった?
月 でも被害者、全員ビッチでしょ。天誅じゃね
金 出会い系少女連続殺害事件ですからね、ざまあ
月 中古少女全滅していい
火 もう一人は、まだ?
土 まだ、だけど
火 もう死んでんじゃん殺されて(王様にビンタする)
王 あ!
魔 びっくりした。え、なに?
王 あー…
魔 どしたの?

 間

魔 …思い出した?
王 …うむ
魔 そっか、なに?

 間

王 一人でこんなところに住んで、寂しくないか
魔 うーん、でもずっとひとりだし
王 うむ…

 間

魔 へへ、ずっと一緒にいてくれるんでしょ
王 …

 間

魔 …何か思い出した?
王 …うむ
魔 そか

 間

魔 で、どうしたの?
王 うむ…
魔 なんでこんなとこまで来たの?
王 うむ…、実は我が国で子供がいなくなる事件が多発してな
魔 うん
王 うむ…

 間

魔 え、あれ、わたし疑われてる?
王 や…
魔 疑ってるでしょ
王 あ
魔 疑ってるから来たんでしょ、ここまで
王 あ、まあ
魔 でた。はい、でました、え、まじで言ってる?
王 あ、でも今は…
魔 今は?
王 …

 間

魔 ふっふっふっ
王 …
魔 たしかに、わたしが子供たちをさらったのじゃ。しかし、もうここにはおらん
王 …
魔 その子供は…
王 …
魔 お前のお腹の中じゃ!

 間

魔 …なーんちゃって
王 …
魔 ビビった?ビビった?超ビビってる、うけるんですけど
王 …
魔 ほんと嘘だって、うーそ
王 …いや
魔 やだなー、そんなことしないって、ほんと、まじで
王 …

 間

魔 わかった、じゃあ、いいよ、わたしがさらったことにして
王 …
魔 わたしがさらって殺した
王 …
魔 それでいいよ、そう言えば、みんな納得するんでしょ
王 …や
魔 わたし魔女だし、そういうの慣れてるから
王 わたしは…
魔 そうやって結局、西の魔女、北の魔女、南の魔女、3人のあのアホな魔女たちと同じ様に、私のことも殺すのでしょう。
王 や、それは
魔 ほら、わたしの首を持って帰って、そうして王様は英雄になるのでした。
王 や、ならないから
魔 ↑なるのでした。
月 王様は魔女を殺しました。
火 △王様は魔女を殺しませんでした。
月 王様は魔女の首をはねました。
火 △王様は魔女の首をはねませんでした。
月 はねました。
火 △はねませんでした。
月 はねま
火 △はねま
月 はねま、しー
火 △はねま、せー
魔 さあ、はやく、わたしの首を持って帰って、国民を安心させておやりなさい
王 …

 王様葛藤したのち、魔女を抱きしめる。

魔 どうした?
王 やはり、わたしには、できん
月 性欲が勝ちました。
魔 いいの?
王 かまわん
魔 うれしい、ありがとう。絶対一人にしないでね
王 うん

 しばらく抱擁。いちゃいちゃする。

王 なんか、喉乾いちゃった。なんか飲む?
魔 うん
王 お酒はだめだぞ、なんて…
月 王様は冷蔵庫を開けました。
魔 あ
月 中には無惨に切り刻まれた子供たちがきれいに並べられていました。
王 わー(腰が抜ける)
火 次の瞬間、王様は剣を魔女めがけ振りおろし
月 振り抜き(?)ました
木 その冷たく鋭利な切っ先が首の皮膚にに触れたその時、
魔 つめたっ!
月 剣を通して魔女の声が聞こえました
王 なんだ
魔 わたしの首を持ち帰る間、
王 え、持ち帰らなきゃ駄目?
魔 わたしの首を持ち帰る間、決してわたしの顔を見てはなりませぬ
月 フラグが立ちました
火 王様はきっと魔女の顔を見るでしょう。
木 見てないよ
火 ほんとに?
月 じゃあ、最後に見たの誰?

 間

木 …わたし、かも
月 ほら
火 どんな感じだった?
木 や、特に変わった様子はなかった、と思う、や、ていうか、そんなのわかんないよ、いなくなると思ってなかったもん
月 王様は魔女の首を持ち帰り
火 持ち帰ろうとしました。
月 しかし、歩いても歩いても魔女の森から出ることはできません。
雨 歩い、ても、歩い、ても
月 王様は暗い森の中を何日も何日も歩きました。
火 魔女の森は木々が高くそびえ、太陽を隠し、いつでも夜の様に暗く
月 暗く
火 △暗く、方角もわかりません。
魔 わたしのこと裏切ったから悪いんだからね
月 でも、首をはねろと言ったではないか
魔 乙女心がわかんないやつは消滅したほうがいい
月 おれが悪いのか
魔 え、じゃあ誰が悪いの?
王 …それは
魔 じゃあ、謝ったら許してあげる
王 うむ、すまなかった
魔 目を見て
月 それは
魔 できないの?
王 …
月 それからまた何日も歩きました
火 歩きました
月 歩きました
火 一歩歩くたびに大事な事をひとつずつ忘れて行くような不安に襲われました
木 それはただの不安ではなく、事実王様の記憶に残っているのは、魔女と過ごした数日の
王 エロい
木 記憶でした。
魔 もっかいする?
王 ↑したい!
月 王様はそもそもそんなに意志の強い方ではありませんでしたので我慢はそろそろ限界です。
魔 頭を身体に戻したら、魔女は復活するのよ。試してみる?
月 もう限界
王 したい!
火 と思ったそのとき
木 そのとき空が明るくなりました。

 雨子走り抜ける

月 なんだあの美しい光は
木 空に一筋の星が流れました
魔 ぐわあ
月 魔女が叫びました
木 あれについて行けば森を出られるかもしれません。
魔 いってはならぬ
月 いってはならぬ、と魔女はうめきましたが
火 王様はその星に向かって走りました。

 魔女、王様を必死に止める。

王 森を抜けました。
月 そこには見たことのない広大な湖が広がってるだけで、王様の愛した町はもうありませんでした。
火 なん…だ…と
魔 だから言ったのに。
月 魔女は全てを知っていました。
魔 だから言ったのにぃー
木 魔女の声が遠くから聞こえました。
火 王様は振り返ってみましたが、そこにはあの鬱蒼とした魔女の森も、もうなくってました。
月 ↑なくなって、ただ1本の老木が生えていました。
木 それは魔女の身体でした。
魔 わたしと一緒にいればよかったのに
月 王様は魔女の顔を戻そうとしましたが、首がどこか、どこにあるのかちょっとわかりませんでした。
魔 。・゚゚(ノД`)あ゙~ん
火 魔女は泣きました。
木 世界中に響くほどのそのはげしい泣き声に、王様はうっかり、そして、大方の予想通り魔女の顔を見てしまいました。
月 魔女はこの世のものとは思えないおもしろい顔を…
木 ↑恐ろしい顔をしていました。
火 王様は呪われました。
月 それからというもの、国を亡くしたこの哀れな男は、数千年にわたり今でもひとり、アフリカ、タンザニアのどこかで、魔女に捧げる歌を歌っていると言われています。
火 この時にできた湖が、タンザニアの北に広がるタンガニーカ湖です。この湖は世界でも二番目の深さをほこり、その豊富な水産資源は周辺地域の人々の生活を長年に渡って支えています。
魔 そしてこの魔女の身体と言われているのが、かの有名なバオバブ木です。恐ろしい伝説を持つ反面、乾燥した大地でも枯れる事がないため、その神秘的な力は古来より信仰の対象として、あ、(携帯を見て)やばい…ごめん、わたし、帰る。
王 …
魔 じゃあね、また来るから
木 ぽつり
金 雨子が走ったあとに一粒の雨が落ちました。
木 二粒
月 と数える余地も無く
木 あっという間に豪雨。
雨 え、なにこれ
月 雨子の前には雨が降っていません
雨 え、なにこれ、雨、が追って来るんだけど
金 違います。その時、ちょうど中目黒にいて
土 うん
金 そしたら、目黒川(?)、あるじゃん
土 うん。
金 あっという間に水かさが増えて
土 うん
金 で、やばいと思って
土 うん
金 すぐ逃げて、代官山の方に
月 川が溢れました
金 でも、どんどん、くんの、水が、で、やばくて…、やばかった。
雨 え、なに、これ

 ウルヒト、車で登場

雨 あ
ウ どうも、えらいことになってるね
雨 これ、なんですか
ウ 知らないよ、嘘、知ってるよ
雨 どっちですか
ウ 知ってるよ

 ウルヒト、雨子を写メって、スマホをいじる

雨 なんですか
ウ うん…
雨 え、なんですか
ウ ちょっと待って…
雨 あの、すみません。危ないですよ、運転しながら
ウ わかってるから、すぐ終わるって

 間

ウ 拡散しといた
雨 …なんですか
土 え、なにこれ、雨、が追って来るんだけど
金 違います。
ウ これ、あなたの汗ですよ、この雨
雨 え…
ウ だって、あれだけの涙を汗で発散したら、普通に考えて、降るでしょ、雨
雨 ふつーって
ウ ほら、見てごらん
雨 え
ウ 後ろ
土 雨子の後ろは嵐
金 というより天変地異です。
木 太陽を遮る厚い雲と大きな海が広がっていました。
雨 それでわたしは美しいなって思ってしまったのでした。
ウ もうみんなこれが君の仕業だって知ってるよ。
雨 え…。あ、薬!ありました?
ウ え、あー…、うーん、うん。
雨 ほんとですか?よかった!飲んだら止まるんですよね、これ
ウ うん、まあ、たぶんね
雨 ください
ウ タダで?
雨 や…
ウ 高いよ、払える?
雨 …いくらですか
ウ 50万
雨 …え、なんでですか
ウ この前の薬はもう無くて、別の薬になっちゃうのと、今、あなたのせいで、円が暴落しちゃってるんだよね、だから
金 一応ジェネリックもありますけど
ウ どうする?
雨 じゃあ、それで
ウ 45万、キャッシュで払えます?ビットコインだったら少し安くなるけど持ってないよね
雨 は…い。あ、カードって使えますか、クレジット
ウ 大丈夫ですけど、限度額大丈夫ですか?
雨 あー、じゃあ、現金でって言って、コンビニのa TMでお金おろしたんですけど、なんか、涙が止まらなくて、わたし何やってるんだろって、いつかお父さんとお母さんと旅行でも行けたらなって思って貯めてたのに、もう無理みたい、ごめんね。って、こんなことだったら、ちゃんとお母さんの言う事聞いてちゃんと薬飲んでおけばよかった。って考えてるころには胸のところまで涙があふているのでした。
ウ おろせた?
雨 はい
ウ はい、たしかに。
雨 …
ウ じゃあ、これね
雨 はい

 間

雨 わたしはそれを左手で受け取り、右手の人差し指が
木 その薬に触れたその瞬間、わたしの人差し指は去年の誕生日に買ったノートPCのキーボードUのキーに触れていて、そのキーを叩いたのは累計1万3287回目だったそうです。
雨 それで、軽く口を開けて、その薬を舌の上にのせて、なんか熱くて舌に引っ付く感じがしました。
金 ↑その時、わたしは、スタバなうでした。
雨 ↑手元に水がなかったので仕方なく、唾液だけで飲み下しました。
月 ↑その時、わたしは、電車に乗っていて、中吊り広告、美容薬品の広告をながめていました、moment
雨 で、すごい、目眩がして、あ、やばいって、お腹の中がすごく熱くて、そんな感覚はじめてだから、これって熱いんだよなって、でやばいって、なって、目眩がして、その次の瞬間、身体が、膨らんで、比喩じゃなくて、ほんとに、血管が、全身の血管が膨らんで、マシュマロマン、ゴーストバスターズの、ミシュランのあの変なマスコットのあんなかんじ、で、皮膚がところどころでさけて、血と何て名前か知らないけど、体液が溢れて、右目が先に破裂して、左目が破裂する手前、もう無理って思った時、急激に身体がしぼんで、あ、しぼむ、よかったって思って、思った頃、わたしは死んでいました。

 雨音

月 それで、雨は止んだのですか?
火 いいえ。彼女から蒸発した水分は巨大な雲を作り結局大雨を降らしたそうよ。
土 世界中で?
火 世界中で。
土 彼女は死んだの?
火 はい、残念ながら、からからに干涸びて、
土 からからに干涸びて、ミイラになって死にました。これです。(干物を置く)
金 世界は滅んだのですか?
月 滅んだと言われています。
金 でも世界中で雨が降り続けることなんてあるんですか?
土 あります!
火 どのくらいふったの?
木 ものすごい。世界は、低気圧だけになったのでした。
金 そんなことありえなくない?
月 彼女のミイラはどうなったのですか?
木 あーそれなら、彼が持って行きましたよ。
金 彼?
雨 犬がいて、とても痩せた犬がいて、その犬が私の左足、膝から下をくわえて持って行ってしまいました。犬はすごいスピードで走ります。私は自分の足ではそんなに速く走った事無かったから新鮮で、自分では難しくても人に任せたら簡単にうまくいくことってあるよなやっぱりって思っていました。要領が悪いんだなって、そんなこと今気づいてもどうしようもないけど。でも犬の行動範囲は私が思っているよりずっと狭くて、あの(この?)犬はどうせこの町から出られないんだろうし、それだったら渡り鳥とか、私の足をもっと小さくバラバラにして、それで、渡り鳥とかに、もっと遠くまで運んでほしい。そうだ、それだったらクジラ、クジラがいい。クジラだったら何万キロという距離を移動するというし、クジラだったら、私をまるごと飲み込んでしまえるし、私の身体をバラバラにする手間も省ける。クジラは海しか移動できないけど、陸より海の方が面積が広いしずっといいな、と思っていました。でも現実では犬が私の足をくわえていて、この犬が海まで行く事はないだろうと思います。そもそも海はどっちだろうか、この町に無いにしても、この国に海はあるんだろうか。ここどこですか?
土 地球を、私が、地球だとすると、この辺です。
木 ここは?
土 ここは…ウズベキスタン
木 ここ
土 トリスタン
金 トリスタン
月 トリスタンなんて国なくない?
土 あ、るよ。ね
金 あほだ
雨 あー、無いかな
木 ほらっ
金 無いよね
ウ おい!足無くなってんじゃん!
雨 …
ウ 足無くなってんじゃん
雨 …
ウ 聞いてる?困るんだけど
雨 …
ウ まじかー
雨 …
ウ 全部揃ってないと、買いたたかれるんだよね
雨 どういうことですか…
ウ ↑なんだ聞こえてんじゃん、これどうしたの?
雨 あ
ウ これどうしたの?
雨 あ、犬が、持って行きました
ウ 犬(舌打ち)あー!
雨 …
ウ …ま、いいか。気をつけてね、これ以上減ったら困るから
雨 ここどこですか?
ウ どこだと思う?
雨 あ
ウ ↑カシュガル
雨 …どこですか?
ウ …(携帯を見ている)
土 ウズベクです。
雨 わたし、どうなるんですか?
ウ …。どうなるって、もう死んでるんだから、どうなってもいいでしょ
雨 …これから、
土 これから、まずはカイロを目指します。
雨 カイロ。エジプトですか?
ウ そう、いくつかルートあるけど、どうする?
雨 あ、ちょっと、わからないんで
ウ ↑おまかせで
雨 おまかせで…はい。あの…わたし、死んだんですか?
ウ うん、え、自分でわかんないの?
雨 …実感は無いです。
ウ そっか、まあ、おれも死んだこと無いから、そんなもんかもね
雨 わたし、どうなるんですか?
ウ …。

 間

ウ うん、まあ、端的に言うと、あなたを欲しがっている人がいるので、その人に売ります。
雨 (ぼそっと)たすけて

 間

ウ あれ、またいなくちゃった?
雨 死んだわたしの意識は一定の場所に留まることは難しいようで、魂とか霊とかわたしは生前一切信じていなかったんですけど、こうして死んでみると案外あるもんだなっていうか、精神も物質なのかもっていうのが一番、あるなーって思います。
土 そうして、雨となった雨子はその一粒一粒にその記憶を宿し、世界中に降り注いだということです。
ノ 道を歩いていて、
金 または、
ノ 走っていて額にピタっと何かが当たって、それが雨だと気づくのに必要な時間、それは人s
金 oれぞr、
ノ eまあ、あると思うけど、僕も、普段の僕なら例外ではなくそれが雨だと気づくのにちょっとだけ時間がかかる。
月 そしt
ノ e、しかし、その日のそれw
金 a 、たしk
ノ a 、に雨ではあったけど、その日僕の感は冴えていて、それが雨だと気づくよりs
月 a きに、全然
ノ 先に、その雨の炭素を少し含んだ水の分子の原子のたぶん、最初の水素が額に触れた瞬間に、その雨の正体に気づいていたのさ。hello
雨 ヘロー
ノ あ、どうも、はじめまして
雨 はじめまして
ノ あなたは誰ですか?
雨 ?
ノ Who r u ?
雨 あ、わたし?
ノ y
雨 雨子
ノ omeko!?oh r u pussy?
雨 a 、ME、KO。k?im not fuck'in va gina !
ノ oh sry!悪気は無いんです。
雨 k、私下ネタは嫌いよ
ノ im sry
雨 わかってもらえればいいのよ
ノ まじごめん、オレってやつはまじでfuck'inクソ野郎だim rea lly sry
雨 もういいって、ところでここどこ?
ノ ここかい?あー
雨 なに
ノ 実は僕にもわからないんだ
雨 どういうこと
ノ 僕はここから動けないからね
雨 ふうん、そう。btw、あなた何してるの?
ノ だから、何も
雨 ふうん…えっと、それって、つまり…、
ノ うん?
雨 ごめんなさい。気を悪くしないでね
ノ おー、k、何だい
雨 あなたは、その、つまり…その、ずっと…
ノ 何だい?
雨 だからね、その、うん、ひき<こもり>…
ノ ↑おい、なんだ、おれをひきこもり呼ばわりするのか
雨 oh、ごめんなさい
ノ それ本気で言っているのか、オレがそんな風に見えるかい
雨 ほんとに、ごめんなさい、そんな…
ノ オレがそんな風に見えるのかって聞いてるんだ!答えろ!fuck'in va gina !
雨 だって、何もしてないって言ったじゃない
ノ オレは、何も、って言ったんだ
雨 同じ事じゃな…
ノ 何も、してない、と、何も、できない、は違うだろ!そんなこともわからないのか!それにおれは、こうも言ったはずだ。ここから、動けないってね、わかるかfuck'in va gina !!
雨 私の事をva gina と呼ばないで!
ノ k、a meko、k…、u r not va gina 、そうだ君はva gina じゃない、そうだ、そして、おれも、引きこもりじゃない、わかるか
雨 ええ、わかったわ、ごめんなさい。もう言わないから
ノ わかればいいんだ。オレは別に怒っているわけじゃないんだ。わかるだろ
雨 ええ、わかるわ
ノ あーshit!くそ、おれってやつは、またやっちまった。ほんとに怒ってないんだ。ただちょっと、あーshit、おれはshitだ。
雨 そんな自分を責めないで。誰にでもあることよ
ノ わかってくれるかい、本当に許してほしい、こんなことは二度としないって決めたんだ、あの日からね
雨 もう大丈夫よ
ノ そうだ、あの日、おれは変わるって決めたんだ
雨 うん
ノ 話を聞いてくれるっていうのかい?君はジーザスか?
雨 No、私は雨子。ジーザスでもアラーでもof fuckin course、va gina でもないわ
ノ ははは、そうだな何から話そうか、あの頃オレは…、
雨 うん
ノ 毎日…、毎日起きて寝て起きて寝て、ただ、それを繰り返していて、繰り返していて、返していてえしていえしていえいして…
元 もう、わたしのことも覚えていないかもね
ノ ごめんだめだ、やっぱり何も思い出せない

 P「将来何になりたい?」

ノ あー、なんだろ、あー、あ、宇宙飛行士、かな
木 わーすごい、そしたら、お母さんも宇宙に連れて行ってくれる?
ノ や、それは無理でしょ。だって、宇宙行くにはすごい、くんれんとか、すごいしなくちゃだめなんだよ
木 そっかあ、残念
ノ あ、でも、最初のメッセージは、宇宙からの、お母さんにするからね
元 そんな昔じゃなくて、私のこと思い出してよ
雨 どちらさまですか?
元 ああ、元…カノっていうんですか、わかんない
雨 ああ
元 そうなんですよね、付き合ってたかどうかも怪しいっていうか…
雨 あ、失礼ですけど、おいくつですか?
元 27歳です
雨 あ、同じです!わたしも、7
元 ああ
雨 はい

 間

元 わたし、他の男の人と付き合った事ないから、よくわかんないんですけど…、割と信用してた、しちゃってたんですよね…。だから結局自分が悪いのかもって思って、納得する様に最近はしているんですけど。まあ、実際法律には触れているわけですから、あー、これ話さなくちゃだめですか。じゃあ、言いますけど、大麻の栽培をしてて、わたし、家で。昔、っていうほど前じゃないですけど、大学の2年のときに、だから、えーと、まあ、3、4年前に、おじいちゃん家、あ、北海道なんですけど、行って、そしたら、庭に、生えてたんですよ、それっぽいのが、で、まあ、調べたら、で…。それで、室内栽培セット買って、その頃には一人暮らししていましたから、育てようと思って、で、結構うまくいったんですよ。…わたし、他に趣味も無いし、なんか、たぶん、あー、わたし、結構いい子で通ってて、成績も良かったし、悪い事、お酒とかたばことか、高校のときにはみんなやってたけど、わたしはそういうものやらなかったし、だから、たぶん、悪い事しているのが楽しかったんだろうと思います。別に人に売る気もなかったし、自分でちょっと吸うだけで、あーでも、自生してる大麻ってあんまり…なんていうか、効かないみたいで、やっぱりそれ用にちゃんと育てた品種じゃないと駄目みたいです。
ノ 駄目みたいです、じゃねえよ、馬鹿
元 …
ノ 恥かいたんだけど、どうしてくれんの?
元 …
ノ どうしてくれんの?
元 …
ノ まあ、恥かいたのは、別にいいんだよ、よくねーけど、別に、オレが恥かくくらいのことはさ、どうでもいいわけ
元 うん
ノ うん、じゃねえよ…、よくねえだろ全然、よくねーけど、我慢してんの、大人だから
元 ごめん

 間

ノ で、どうすんの?
元 はい
ノ はい、じゃなくて、お金、100万、どうすんの?
元 …
ノ もう、3万くらいしか残ってねえよ、おれ、嘘、2万、2万
元 …
ノ 残り、98万

 間

元 あー…、あの
ノ うん
元 わたし、関係ないですよね
ノ は?なんで?お前のもんじゃん
元 たしかに、わたしの、ものですけど。
ノ そうだよね
元 それを勝手に売ったのは、あなたですよね。
ノ 勝手にって
元 ですよね。
ノ おれさー…
元 なんですか
ノ おれ、こんなじゃん。だからさ、まじで今まで悪いことしたなって思ってて
元 うん
ノ 結構まじめに考えてんだよね、恥ずかしいけど
元 わたしとのこと?
ノ 一緒に旅行行きたいなとか、考えてて、行きたくない?
元 …
ノ どこ行きたい?
元 …どこでもいいよ
ノ おれ今まで海外行ったことないし、どう?
元 …
ノ グアムとか、あったかそうじゃね。つーか、グアムって何?国?
元 …(笑う)
ノ あー、今馬鹿にしたべ
元 …してない
ノ まじで?よかった
元 うん
ノ でもさ、おれほんとにがんばってるんだけど、スロット全然勝てなくて、や、トータルで見たらちょっと勝ってるくらいなんだけど、でも、全然で、だから、もう、ほんとごめん。これ、最後だから、150万貸してって言ったところでガツンって、このざまさ
雨 思ってたとおりのクソ野郎ね
ノ でもさ、最近、すごく反省して、勉強して、それで性善説ってやつ知って、人間生まれながらに悪い人はいないってやつ、聞いて、なんだよ、それ最高じゃん、おれも、ウルトラいいやつになれたかもしれないって思って、だから、やりなおせないかなって思ってて、思っててというか、もう、やりなおせる、オレは、ヒーローになっちゃうぜって思っちゃってるわけですよ。
雨 タスケテー!
ノ だから、今すぐ、助けにいくからな、fuck'in va gina !
雨 あれ
ウ おかえり
雨 ただいま。え、あ…
ウ うん
雨 今どこですか?
ウ どこだと思う?
木 今、ヘラートに着いたところです。
雨 今どこですか?
ウ どこだと思う?
木 今、バグダッドに着いたところです。

 間

ウ カイロに着いたよ
雨 …はい

 間

雨 だれが…
ウ うん
雨 だれがわたしを買うんですか?
ウ 言ってもわかんないと思うけど、
雨 はい
ウ アフリカの、ある部族で
木 女性のミイラを食べると、病気が治り、長寿の効果があると言われているそうです。
ウ アフリカには、呪術で病気を治したりするひとがいてね。昔から人間の干物っていうのは珍重されてきたんだよね。
雨 人を食べるんですか?
ウ うん、まあ、別に珍しいことじゃないから、それは
雨 …、わたし食べても病気なんか治りませんよ。
ウ うーん、どうだろうね
雨 や、治らないですよね。そんなの聞いたことないですよ。
ウ うん、まあ、そうかもね。あ、でも、すごいうまいらしいよ、人間の干物は。まあ食べたことないからほんとかわかんないけど
雨 な…
ウ まあ、あとは食べてるものにもよるけど、ほら、水一杯飲むでしょ、ね、多涙症の、涙止まらない病気のひとは。それがいいらしんだよね。デトックス(?)
雨 そんな話信じられません。
ウ あんたが信じようが信じまいが、別にどっちでもよくて。実際に信じる人がいて、そういう人がいっぱいお金を出してくれんの。わかる?それよくない?
雨 よくはないです。
ウ ああ、そう?つーか死体のくせにあんましゃべんじゃねえよ、めんどくせえな。
雨 死体だってしゃべりますよ。
ウ おれさー、あんたが診察に来た時さ、YES!YES!って思ったんだよね。神きたって。福音が聞こえた、まじで。ハイタッチしそうになったもん、まじ感謝、yea h
雨 ちょっと、やめてください。
ウ なんで
雨 っていうか…、それって、わたしのこと売る為にあの薬飲ませたんですか?
ウ え、うん、そうだけど、あ、でも、勘違いしないでね。違うよ
雨 なにがですか
ウ や、だってああするしかないでしょ、ね。自分が何したかわかってるよね
雨 それとこれとは違うじゃないですか
ウ ↑違わないでしょ。だってあのままほっといたら日本どころか世界中沈んでたよ。
雨 …
ウ だから、むしろ、オレが英雄であんたが悪者ってことになってんのね、世界では。
雨 …日本、無くなっちゃったんですか。
ウ うーん、まあ、全部じゃないけど、関東平野から東海地方にかけては、ほぼ。

 間

雨 わたし、帰りたいです、家に
ウ だから、もう家なんてないんだって
雨 無くてもいいです。あったところで、死にたい、家の
ウ もう、死んでるんだし、いいでしょ。ここで、犬とか鳥に食われるか、タンザニアまで行って偉い人に食べられるか、もうどっちかしかないんだって。それだったら、ここで犬とか鳥とかしょうもないもんのエサになるより、アフリカ行って、偉い人の寿命延ばして、オレがお金もらえる方がよっぽど人のためになるんだから、尊厳ある死っていうの(?)その方が断然いいでしょ、誰が考えても
雨 …どっちでも一緒ですよ。
ウ どっちでもいいんだったら、だまってろ馬鹿
雨 今どこですか?
ウ エチオピア、あと数日で着くよ。
雨 今どこですか?
ウ まだエチオピア、町の名前はわかんないけど
雨 今どこですか?
ウ タンザニアの国境を越えたよ。
雨 今どこですか?
ウ もうすぐ着くよ。
雨 今どこですか?

 男、干物の前に座る。

ウ 着いたよ。
男 いただきます。

 ノーシの電源が落とされる。

土 その時、完全に干涸びたはずの雨子の目から一滴の涙がこぼれました。

 間

雨 涙が落ちた先から一輪の真っ白な花が咲きました。その花こそ、あの幻の花モーメントです。一瞬しか花を咲かせないことで有名なこの花から抽出された成分アルドモメノイドは活性酸素を、とそこまで読んで、わたしは飽きてしまった。地下鉄の広告は金融会社と脱毛エステが交互に並んでいる。その日わたしは、仕事が休みにも関わらず昼前10時頃、家を出た。姉に子供が生まれたのは先月の初めのこと。今月ももう終わる。あれこれと言い訳を並べて、かれこれ2ヶ月近く甥との面会を延ばしてきた。自分と血のつながったしわしわの赤子を見て素直にかわいいと言える自信がなかった。というのも、また言い訳で、結局わたしは、姉や、その旦那と顔を合わせるのがただ億劫なだけだったのだと思う。ほぼ毎日通勤で使っている黄色の銀座線に乗って、職場がある赤坂見附の駅を過ぎ、溜池山王まで行って緑色の南北線、ヘルシンキ方面に乗り換えブルックリンまで行くつもりが、何を間違ったのか台北で降りてしまった。ずいぶん手前で降りてしまったと、自分の注意力の無さに辟易したが、実のところこれもきっと姉に会うことを回避しようとしている深層の表れで、そうであるなら、このまま姉との約束をボイコットして屋台で昼間からビールでも煽ろうかとも思ったが、その一歩を踏み出すことのできないわたしは、結局次に来た同じ緑の電車に乗り直した。わたしはもう大人なのだ、もうちょっとで大人の階段を踏み外すところだった。車内は先ほどと変わらず空いていて、上品そうなお婆さんの横を選んで腰を降ろすとわずかに仁丹の嫌な匂いがした。わたしは仁丹が嫌いだ。というか、あれを好きな人がいることが信じられない。若い人はまず食べないし、食べるのはほとんど年寄りだけ。歳をとると味覚が変わるというが、あんなものをおいしいとおもえるほど変わることがあるか、いや、ない。きっと歳を取ると歯が抜けるのと一緒に舌も抜けるのだ。それで、入れ歯ならぬ入れ舌をする。仁丹はきっとその入れ舌を洗浄するための薬品で、そうであるなら、キオスクでオシャレなタブレットと一緒に並べないでほしい。医薬品だろ、あと6駅で着く。景色が変わらないから地下鉄が嫌いという人は多いけれど、わたしはその逆で、景色なんて何も見えない方がいいと思う。電車が走っている間は言ってみればパソコンとモデムをつなぐLa Nケーブルみたいなもので、そんなものまじまじと見ていても楽しいはずがない。結果だけあればいい。それに外を走る電車はずっと景色を眺めていると、自分が動いている実感が薄くなって、町が次々に迫ってくるように思えて怖い。近景は速く、遠景はゆっくりと動く。わたしはその駒の中心にいて逃げられない、そんな思春期を迎えたばかりのネクラな文学系JKが思う様なことをこの歳になっても考えてしまっていることがなにより恐ろしいと思う。身動きがとれない。なんてとりとめのないことを考えているうちに、目的のブルックリンに到着していて、わたしは慌ててホームに降りた。休日のブルックリンは思ったより静かで、東京に比べてまだ肌寒かったがコートを羽織るほどではなかった。

 間

雨 以上です。ありがとうございました。

演出note/注釈/作家モノローグ

「;mo0ment」2014年8月

パフォーマンスに関する注意。
特に指示がない限り、会話をする際その相手に向かって発話をしない。各々が別々の方向を向き、別々の距離を持って会話をすること。

本文記載の記号について
〈〉 囲まれた台詞は発話しない。
《》 本来の発話。
↑ 前の台詞が終わる前に発話する。前の台詞に↓の指示がある場合はそのタイミングで発話する。
↙ 台詞を言い間違える(いわゆる「噛む」)
△ 前の台詞と同時に発話する。
▶ ◀まで繰り返す。(①、②の数字に対応)最初に発話した音を正確に繰り返す。言葉から意味を切り離して音だけを舞台上に浮遊させる。
フォントサイズが大きいワード とくに慎重に発話する。

登場人物
雨子 ランニングウェアを着ている。
魔女(無二子) 見た目は普通の女子高生。
栲機千千姫萬姫〈たくはたちぢひめよろずひめの〉めくる スカートの紐がレミングちゃんの首に繋がっている。大きい花束を抱えていて顔が見えない。
自爆長女レミングちゃん様3杯目 首を吊ろうとするとめくるのスカートがめくれる。長いスカートをはいていて中に盲目の少女(ペル子)が入っている。ペル子は足だけ出しているので、すごく身体の大きい人に見える。
盲目の少女(ペル子) アイマスク着用。
ガンタン子 見た目はガンタンク。中身は普通の女子高生。
男1~男3 一般男性
男4→王様 一般男性
c~i 上記の登場人物が任意で発話する。便宜上アルファベット表記にしているが、固定の役者が演じるわけではない。(例えばある役者が前半でcを演じたからといって、後半もcを演じるとはかぎらない。)
女子a、女子b 女子高生
フリーター 台本上台詞は無く、演出家の指示に従って行動する。
音響スタッフ 音響を操作する人